厚生労働省が業務改善助成金の申請を受付中
厚生労働省では現在、生産性向上に資する設備投資等を行うとともに、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資等にかかった費用の一部を助成する「業務改善助成金」の申請を受付けている。
対象事業者は、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以下であることなど一定の要件を満たす中小企業・小規模事業者であり、対象となる設備投資等は機械設備の導入や経営コンサルティングの依頼、人材育成・教育訓練など幅広い。助成率は、申請事業場の事業場内最低賃金などによって4分の3、5分の4、10分の9のいずれかが適用され、事業場内最低賃金の引上げ額と引き上げる労働者数によってそれぞれ助成上限額が設けられている。
経済産業省や地方自治体が実施する補助金等にも類似の制度があるが、本助成金は助成率が非常に高い。また、対象労働者が1人だけであったとしても、事業場内最低賃金を90円以上引上げることで最大で170万円の助成金を受給できるなど、小規模事業所にとっても大きな経済的メリットを享受できるという点が大きい。
さらに、原材料費の高騰など社会的・経済的慣行の変化等の外的要因により、申請前3か月間のうち任意の1月の利益率(売上高総利益率又は売上高営業利益率)が、前年同期に比べて3%ポイント以上低下している事業者は、特例事業者として助成対象経費が拡充されるとともに、一定の乗用自動車やパソコン等も助成対象となる。これらの物品購入費が対象となる補助金等は非常に少ないと考えられるので、今後本助成金の要件に合致した事業用車両を買い換えたいと考えている事業所にとっては大変有益な制度と言えよう。
助成金支給の流れとしては、まず事業場の所在地を管轄する都道府県労働局に対して交付申請を行い、労働局による申請内容の審査を経て交付決定がされたら、申請内容に沿って事業を実施していく。そして事業完了後、労働局に事業実績報告と助成金支給申請を行うと、労働局による報告内容の審査を経て助成金が支給される。留意点としては、①上記の流れに沿わず、例えば交付決定前に機械設備を購入した場合には助成対象にならない、②助成金の交付時期は事業実施後となり、それまでの間は実質的に事業者の立替払いになる、③予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集を終了する場合がある、などであり、(他の補助金等も同様だが)特に①は十分注意が必要である。
なお、詳細は厚生労働省のホームページ参照。