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従業員等の人数が常時10名以上になった場合の留意点

 事業所の従業員等の人数が常時10名以上になった場合、税務・労務それぞれの分野において留意すべき事項がある。税務面については過去の記事でも紹介したが、給与の支給人員が常時10名以上となった場合には源泉所得税の納期の特例の適用を受けることができなくなるため、「源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった旨の届出書」を税務署に提出する必要がある。

 本件に関する留意点として、まず判定基準は常時10名以上であるため、例えば年末年始など一時的な繁忙期のみ10名以上となり、他の時期は9名以下である場合には常時10名以上の要件には該当せず、引き続き納期の特例の適用を受けることができる。次に、特例の要件に該当しなくなった場合の具体的な納期限について、例えば3月中に届出書を提出した場合には、1~3月に支払いを受けた給与に係る源泉所得税については原則4月10日、4月以後に支払いを受けた給与に係る源泉所得税については原則翌月10日が納期限となる。さらに、仮に従業員等の給与から特別徴収した住民税についても納期特例の適用を受けている場合には、各自治体に対しても同様の届出を行う必要があるが、源泉所得税とは納期特例のサイクルが異なるため混同しないよう十分注意する必要がある。

 一方で労務面については、常時10人以上の労働者を使用する事業場について就業規則の作成が義務付けられる。この「労働者」には、正規社員のほかパートタイム労働者やアルバイトなど全ての者が含まれ、この点に関しては上記の税務の取扱いとほぼ同様である。ちなみに本法令については、私が社会保険労務士資格を取得する前から漠然と理解しており、事業所の規模が大きくなれば労働者を管理するためにしっかりとしたルールが必要であるという至極順当な内容であると考えていた。加えて最近では、厚生労働省が実施する助成金事業の多くについて申請時の添付書類として就業規則が必要になることから、これまで就業規則を作成していなかった事業所が助成金申請を機に新たに作成するケースもある。

 余談であるが、常時10人以上に関する論点としては、「安全管理者及び衛生管理者の選任が義務づけられていない中小規模事業場の安全衛生水準の向上を図るため、常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、安全衛生推進者(安全管理者の選任対象外の業種では衛生推進者)を選任しなければならない」という法令が存在する。本件は、私が社会保険労務士試験の労働安全衛生法の勉強をしていた際に初めて知ったが、この記事を作成するまで完全に失念していたし、特定の業種に従事していたり社会保険実務に携わっていなければ知る機会はほとんどないかもしれない。

 なお、源泉所得税の納期の特例の要件に該当しなくなった旨の届出に関する詳細については、国税庁のホームページ参照。

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