社会保険労務士試験の足切り対策①
社労士試験においても、基本事項を確実に押さえることが最重要である点は他の試験と何ら変わらないが、これまで度々説明してきた足切り対策も合否を大きく左右する。そこで、私にとって最大の悩みの種であった「足切り」対策(選択式は原則60%、択一式は原則40%以上正解)をメインとして、あくまで個人的な主観を交えて説明したい。
まず、学習者が最初に勉強する労働基準法(以下「労基法」と呼ぶ)と労働安全衛生法(以下「安衛法」と呼ぶ)は、選択式・択一式ともに2法で1科目を構成しており、かつ労基法の方が配点は高い。よって、その配点割合の割に学習範囲が明確ではないために手を付けにくい安衛法は、マイナー科目として軽視されがちであるが、それは足切りを考えた場合には好ましくない思考であるかもしれない。特に選択式の場合には、労基法3点、安衛法2点の配点であるため、仮に安衛法が0点であると、労基法で満点を取らなければ足切りに遭う。しかも、選択式の労基法はテキストには載っていない判例からの出題も多く、問題との相性が悪いと得点に難儀する可能性が高いと感じた。従って安衛法では0点を避けるべく、比較的学習しやすい部分や本試験での頻出論点を中心に理解を深め、何としても1点は獲得したいところである。逆に1点確保しておけば、労基法は3問中2問で足切りを避けられ、択一式に至っては7問中3問正解すれば足切りを回避できる。
次に重視したいのは、こちらもマイナー科目である労働保険の保険料の徴収等に関する法律(「以下「徴収法」と呼ぶ」である。こちらは選択式の出題はなく、択一式として6点分の配点がある。そして特徴的な点としては、この6点のうち3点は労災保険法として出題され、残りの3点は雇用保険法として出題される。徴収法は学習すべき分量が少なく、かつ難問・奇問リスクが少ないため、実力者は満点を狙える科目であると考えている。私は合格年の本試験では6問中5問正解したが、この年は労災保険法で難問が多く出題され、本試験中は択一式の足切りに遭うのではないかと恐れるほどであった。仮に徴収法で満点を取れた場合、労災保険・雇用保険ともに1点取れば足切りリスクから解放されることになるので、徴収法は安定的に得点したい科目と言える。
最後に、上記5科目そして次項で説明する社会保険3科目に共通して言えることは、基本的にマイナー論点に深入りしてはならない。学習時間に制約がある中、やはり頻出・基本論点を重点的に押さえていくことが合格の早道であり、仮にその論点の重要性が高くなく、かつ理解に相当の時間を要するようであれば、理解しないでそのまま暗記或いは捨て論点として切り捨てることも必要かもしれない。ちなみに私の捨て論点は、労災保険法のスライド制や年金科目のマクロ経済スライドであった。
次項では、社会保険及び一般常識系の足切り対策について説明したい。