足立区のコミュニティバスの一部運行終了
バス運転士不足の問題は昨年からメディアでも頻繁に取り挙げられており、特に地方ではその影響が深刻と言われている。これについては、例えば昨年九州に行った際、以前は運行されていた駅と宿泊ホテルを結ぶシャトルバスが運転士不足を理由に運航休止になっていたことや、地方の空港バスの本数が間引きされていることを確認した際、改めてその影響を実感した。
しかし、こうした状況は既に都心部でも随所で発生している。私の近所においても、都バスや民間バスの運行本数は明らかに減少していることに加え、令和6年3月には足立区のコミュニティバス「はるかぜ」の運行路線のうち、利用客数の少ない3路線(うち1路線は一部区間)が運航終了となり、さらに令和6年中に1路線の運航終了が予定されている。特に足立区は鉄道のみを利用してスムーズに訪問することが困難なエリアも点在しており、車を運転しないため顧客訪問で時々バスを利用する私にとっては少なからず影響を受けることになる。
今回運行終了となる具体的な路線は、はるかぜ10号(西新井・高野線)、3号(西新井・舎人線)、7号(西新井・六木線)であり、一部区間の終了路線ははるかぜ11号(堀之内・椿循環)の合計4路線。例えば、はるかぜ3号について運行事業者にヒアリングした内容では、利用者が少なく赤字路線であることに加えて、①働き方改革の一環である改善基準告示が令和6年4月から適用され、現行より長い休息時間(短い拘束時間)の確保が必要となり、さらに運転士不足が深刻化すること、②全国的な運転士不足で、限られた人的資源を利用者の多い路線へ集中する必要があること、③運転士不足は、区からの運行経費の補助があっても解決できる問題ではないこと、などが示されている。
「はるかぜ」は、平成12年のはるかぜ1号の運行開始以来、12路線を5つの事業者による自主運行形式により運行しており、同区ではこれまでバス停の整備や車両購入費用の補助を実施してきた。しかしこうした状況を踏まえ、7路線についてこれまでの自主運行形式による運行に代えて、足立区とバス事業者の双方が連携・協働し、利用者の多い路線を維持していく協働事業を実施していくことで、利用実態に合った最適かつ効率的な運行を推進していく。
一朝一夕に解決を図っていくことは容易ではないテーマであるが、足立区民の一人として、本協働事業により生活者の利便性向上と運転士の健康確保の双方が改善されることを強く期待したい。なお、詳細は足立区のホームページ参照。