1. HOME
  2. ニュース
  3. インボイス制度の施行と無申告

NEWS

お知らせ

税理士業務

インボイス制度の施行と無申告

 個人の免税事業者が令和5年10月1日からインボイス発行事業者になった場合、令和5年分の確定申告については、これまでの所得税に加えて令和5年10~12月分の取引について新たに消費税の確定申告が必要となる。しかし、これまで所得税の確定申告を行っていない場合にはどうすれば良いのか? インボイス制度の施行により十分想定される相談内容ではあったのだが、今年に入ってからいよいよ実際に遭遇することとなった。ちなみに類似の相談は、コロナ禍における各種給付金や支援金の申請の際にも寄せられた。これらの申請時には原則として確定申告書の控を添付することが必要であったのだが、確定申告をしていなければ当然のことながらそれらを添付することはできないため、対応に困って相談に来たという次第である。

 上記の相談に対する回答としては、支援金等の申請及びインボイス制度施行の有無に関係なく、所得税の確定申告義務を有する場合には、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続きである確定申告を行い、申告期限迄に所轄税務署に対して確定申告書を提出しなければならない。従って、仮に確定申告義務があるにもかかわらず過年分の確定申告を行っていない場合には、一刻も早く期限後申告を行う必要がある。その上で令和5年分以降は、所得税に加えて消費税についても申告期限迄に確定申告書を提出していくことになる。いずれにしても、各税法の定めに基づき適正な申告・納税を行っていくことは義務である。

 また、インボイス発行事業者について過去に確定申告書の提出が全くない場合、税務署側に無申告ではないかとの疑念を持たれることは十分想定される。そして仮に無申告状態であった場合、自主的に期限後申告を行う場合と税務調査により発覚した場合ではペナルティ(罰金)が全く異なる。また、日本政策金融公庫や民間金融機関から融資を受ける場合には、原則として過年分の確定申告書の提出が求められる他、建設業許可など行政に対する許認可申請時にも添付が必要となるケースがあり、今後の中長期的な事業展開や資金繰りを検討していく上でも無申告状態は可能な限り早急に解消されるべきである。

 なお、無申告であり続けることの弊害については、約2年半前に掲載した記事「無申告のリスクとデメリット」でも紹介しているので参考にしていただきたい。

最新記事

料金プラン(法人)

料金プラン(個人)

料金プラン(法人・個人)