令和5年10月2日以後のインボイス登録
今年に入ってから、昨年9月30日迄にインボイスの登録申請を行っていない既存の免税事業者から「今からインボイス登録を行いたいのだが、登録完了は最速でいつ頃になるのか?」との相談を受けた。詳しい話を聞いたところ、どうやらインボイス未登録であることが得意先に対して与える影響について改めて認識し、諸々の事情もあって早急な対応が必要と考えて当所宛連絡をしてきたようである。インボイス制度については、昨年からメディア等でも頻繁に取り上げられていたが、制度に関する理解が十分ではなかった等の理由により、特段対応することなく今日に至るという個人の免税事業者の方も少なくないと思われる。
まず、上記質問に対する直接的な回答としては、1月18日時点においてETAXの場合には約1か月、書面提出の場合には1.5か月を要する旨が国税庁のホームページに掲載されている。従って、「その登録が完了するまではインボイスを発行することはできないのでは?」とも考えられるが、本件については特例が設けられている。
具体的には、免税事業者が令和5年10月1日から令和11年9月30日の属する課税期間において、令和5年10月2日以後にインボイス発行事業者となる場合には、インボイスの登録申請書に登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載する必要があり、この場合には実際に登録が完了した日が登録希望日後であっても、登録希望日に登録を受けたものとみなされる。例えば、令和6年1月17日迄に登録申請書を提出し、登録希望日を令和6年2月1日と記載した場合、登録の通知が令和6年2月1日迄に届かなかった場合であっても、令和6年2月1日に遡って登録を受けたものとして取り扱われることになる。本取扱いは、今後申請予定の免税事業者にとっては有り難い制度と言えよう。
また、逆にインボイス登録を取りやめる場合について、翌課税期間の初日からインボイス発行事業者の登録を取りやめる場合の「適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書」の提出期限は、取りやめる課税期間の初日から起算して15日前の日までと定められている。例えば、1月決算法人が令和6年2月1日から登録をとりやめる場合には、令和6年1月17日迄に同届出書を提出する必要がある。特に取りやめに関しては、提出期限を厳守することが大変重要になってくるので、提出書類の内容と提出期限についてはしっかり整理しておく必要がある。