荒川区が中小企業者に対する各種支援事業を実施中
コロナ後においても昨年から続く物価高や円安などの影響を受け、中小企業を取り巻く経営環境が厳しさを増す中、近年各自治体では、その地域特性に応じた様々な支援メニューの創設・拡充を図っている。例えば以前の記事で紹介した、足立区で毎年実施されている「小規模事業者経営改善補助金」、本年度前半に葛飾区で実施された「物価高騰緊急対策支援金」などはその典型例である。こうした中で荒川区においても現在、同区内において製造業や商業・サービス業を営む一定の中小企業者に対する補助事業を積極的に実施している。
まず、製造業等を営む中小企業者の生産性向上及び企業価値向上を目的とした補助を行う「荒川区製造業等企業価値向上支援事業補助金」では、生産活動・販売活動・役務提供活動等その他収益を得るために直接的に必要であり、かつ計画期間3年で年平均1パーセント以上の労働生産性を向上させるために必要な一定の設備の設置や、ICTを用いて業務効率化や販路拡大に繋げるために必要なシステムの構築・導入など4つのメニューに対して、最大で300万円の補助を行う。
一方、商業・サービス業を営む中小企業者が、社会構造の改革や市場環境へ対応するために行う販売活動、役務提供活動その他事業活動に直接的に必要な設備等の導入に係る経費を補助する「商業・サービス業活力創出支援事業補助金」では、ポスレジシステムや業務用ソフトの導入といったデジタル化・技術革新、或いはLED照明の取付け工事や業務用省エネルギー冷蔵庫の設置といった脱炭素・環境負荷軽減に向けた取り組みなどに対して、100万円を上限として補助する。
補助対象者は、中小企業基本法に規定する事業者であることや、荒川区内で5年以上継続して事業を営んでいることなどの要件を全て満たす事業者であり、同区のホームページを確認する限りでは、いずれの事業についても対象設備等は非常に幅広いが、例えば複写機、事務用の机・椅子、パソコン、営業車の購入など本事業の趣旨に該当すると認められないものは対象外となる。また、対象経費は令和6年3月末までに設備等の設置・支払が完了しているものであるが、事業及びメニューによって申請期限やプロセスが異なるので、この点は十分な注意が必要である。さらに、設備投資の内容審査及び設備投資の実効性を高めるため、補助金申請後には専門家によるアドバイスを受ける必要があるので、十分に余裕をもったスケジュールの策定・実施が求められる。