厚生労働省がパワハラ撲滅に向けた取り組みを推進
最近メディアにおいて、職場におけるパワーハラスメント(以下「パワハラ」と呼ぶ)に関連した事件が頻繁に報道されている。実際に報道されたのはプロ野球界や地方自治体、歌劇団で行われたものであるが、これらと同様の事案は一般社会においても広範に存在するものと考えられ、パワハラ防止対策の強化は喫緊の課題といえる。厚生労働省が作成しているパンフレットによれば、職場におけるパワハラとは、A)優越的な関係を背景とした言動であって、B)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、c)労働者の就業環境が害されるもの、の全てを満たす行為をいい、その類型は①身体的な攻撃、②精神的な攻撃、③人間関係からの切り離し、④過大な要求、⑤過少な要求、⑥個の侵害、の6つがあるとされている。
近年政府においても、令和元年に改正された労働施策総合推進法において、職場におけるパワハラについて防止措置を講ずることを事業主に義務付けたことや、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法においても、セクシュアルハラスメントや妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントに係る規定を一部改正するといった防止対策の強化を図っているが、今後も更なる取り組みの強化が必須であると言える。
こうした中で厚生労働省は、12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため、集中的な広報・啓発活動を実施している。具体的には、去る12月5日(火)に職場におけるハラスメント対策シンポジウムをオンラインで開催した他、事業主、人事労務担当者及び労働者等が職場におけるハラスメント防止の必要性及び関係法令の内容への理解を深められるよう、ポスターの掲示やリーフレットの配布、インターネット広告など多様な媒体を活用した広報・啓発を行っている。
最後に、「ハラスメントを受けているのでは?」と思った場合にどうすれば良いのかについて同省では、ハラスメントは我慢していても解決しないので、上司や同僚或いは社内相談窓口に相談することを勧めている。また、それでも解決しない時や社内で相談ができない時は、都道府県労働局雇用環境・均等部及び全国の労働基準監督署内に設置されている総合労働相談コーナーへの相談を呼び掛けている。個人的な印象として、このような公的相談機関についての一般に対する認知度は決して高くないと考えられることから、こうした機関の存在や役割などについて政府広報等を通じて更に積極的に発信することも有効な対策であるだろう。
なお、詳細は厚生労働省のホームページ参照。