第73回税理士試験の結果
国税庁は去る11月30日、第73回税理士試験の結果を公表した。私が受験生時代であった十数年前の合格発表日は12月上~中旬であったが、最近はその時と比べるとやや早く発表されている。しかし、合格発表日=12月という固定観念があるため、どうしても国税庁の税理士試験に関する掲載内容を確認するのが遅くなってしまう。余談であるが、社会保険労務士試験の場合には試験実施日から約1か月後に合格発表が行われている。同試験の場合には答案用紙がマークシートであるため無論単純比較はできないが、受験生にとってはスムーズな受験計画策定のためにも合格発表日は早いに越したことはない。
さて、本題に戻って今回の税理士試験の結果についてであるが、まず受験申込者数や受験者数は昨年に比べて増加しており、受験経験者の一人としては大変喜ばしいと感じている。特に税理士試験の必修科目であり、かつ同試験の登竜門的な位置づけにある「簿記論」「財務諸表論」の受験者数は、昨年比で約25~30%の伸び率となっている。この要因としては、今回の試験から両科目についての受験資格制限がなくなり、誰でも受験可能となったことが大きいものと考えられる。
また、双方の科目の合格率は、財務諸表論の合格率が28.1%と昨年に比べてほぼ2倍になっており、簿記論と合計した合格者数は6,500人を超えている。次なるステップとして多くの方がチャレンジするであろう税法科目の中には難易度が高い科目もあるので、必修科目の合格をバネにして是非短期合格を勝ち取って欲しいところである。
さらに、今回注目したいのは年代別の合格者数と合格率である。まず5科目合格者数(600人)のうち、41歳以上の方は269名と約半数を占めていることは意外に感じられるかもしれないが、特に勤務しながらの受験であると長期戦となることは避けられないので、こうした結果になっていると考えられる。ちなみに私は37歳で5科目合格しており、当時はかなり遅い方だと考えていたのだが、今回の結果からみる限りでは30代での合格者数は全体の約3分の1である。
一方、合格率は20代前半の合格率が約30%であるのに対して、30代前半から30代後半となるにつれて低下し、41歳以上では13.1%となっており、少なくも公表データ上は年齢が若いほど合格率が高いという顕著な関係がみられる。この要因としては、記憶力の問題や様々な事情による勉強時間の制約など幾つかの理由があるのだろう。一方、この年代で難関試験の受験に挑むというチャレンジ精神に対しては心から敬意を表したい。
最後に、第74回税理士試験の受験申込期間については、令和6年4月22日~5月10日迄の予定であり、例年の日程より前倒しとなっているので、受験予定者におかれては十分注意が必要である。なお、詳細は国税庁のホームページ参照。