士業団体が実施する会員向け研修
資格を取得すること自体を最終目標としているケースを除けば、資格取得後の知識・能力を維持・向上させるための研修受講は必要不可欠である。特に近年は、研修の受講促進に向けた取り組みを強化している士業団体もあり、以下では私が保有する2資格(税理士・中小企業診断士)の概要について見ていきたい。
まず日本税理士会連合会の場合には、会員である税理士に対して1年間で36時間の研修受講を義務付けており、年度終了後には各会員の研修受講時間を同会のホームページ上に公開している。現時点においては、受講義務を達成しないことをもって税理士資格の停止等の懲戒処分が課されることはなく、受講義務達成率は必ずしも高くないのが現状であるが、今後更なる取り組み強化が図られることを期待したい。
一方で中小企業診断士は、①理論政策更新研修、②実務補修の双方を受講する必要があり、これらの要件を満たせない場合には5年毎の資格更新を行うことができない。双方の内容をごく簡潔に説明すると、①は5年間で5回(1回の研修時間は約4時間)の座学研修、②は中小企業診断・助言等の実務に5年間で30回の従事、と定められている。①は1年1回のペースで参加すればそれほど負担にはならないが、②は日頃実務に従事する機会が乏しく、本業が多忙で平日にまとまった休みを取ることが困難な会員にとっては相当の負担となり、結果として折角取得した資格を更新しないケースも決して少なくないようである。私自身もこの点については痛切に感じており、更新制度の抜本的な改善が必要であると強く考えている。
最後に、これらの研修スタイルについて、従前は一つの会場に集って受講する集合研修であったが、最近はコロナの影響もあり、両士業団体ともにインターネットによる配信やZOOMを利用した研修に力を入れている。各人にとって必要な研修を手軽に受講できるメリットを考えた場合、これらWEB研修への流れは更に加速されることであろう。