たまたま土地の譲渡があった場合の消費税
この新着情報コーナーにおいて、これまで消費税の実務に関するテーマを扱う機会は比較的少なかったが、今回は実際に相談を受けた内容に基づくものであり、かつ非常にインパクトがある内容であったので、その概要のみ紹介したい。
標題のとおり、たまたま土地の譲渡があった場合における消費税計算については、そのまま計算してしまうと課税売上割合が減少してしまい、結果として多額の納税を強いられることになることから、一定の要件を満たす場合についてはいわゆる特例措置が設けられている。
具体的な要件は割愛するが、対象となる土地の譲渡が単発のものであるなど一定の要件を満たす場合においては、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」という書類を所定の期間内に提出し、税務署長による承認を受けることにより、(通常の課税売上割合ではなく)「課税売上割合に準ずる割合」を用いることができるというものであり、これにより土地の譲渡がなかった場合とほぼ同じ状態により消費税計算を行うことが可能となる。
まず、税理士としてこの取り扱いを知識として押さえておくことは当然であるが、実際にこのケースに遭遇した場合に失念せずに対応することができるかという点が最も重要である。消費税関連の申請・届出については、その提出の失念や判断ミスが税額面に大きなインパクトを及ぼすケースが多く、これらに関連する税理士に対する損害賠償事例も数多く存在する。本件についても、仮に失念しまった場合には税額面で相当なダメージになる可能性が高いので、一層細心の注意を払って処理を進める必要がある。