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個人が寄付を行った場合の税制上の特例

 近年は、寄付金と言えば「ふるさと納税」が注目されがちであるが、ふるさと納税以外の寄付であっても、一定の要件を満たせば様々な税制上の特例を受けることができる。これらについては、社会保険料控除や医療費控除などのように頻出する所得控除ではないため、実務で接する機会は必ずしも多いとは言えない。私自身も税理士事務所開業当初は国税庁が作成する冊子レベルの内容しか理解できておらず、その後の実務を通じて学んだ部分が多かった。加えて、私が関与している個人のクライアントの中に様々な公的団体・機関に対して寄付を行っている方がおり、その確定申告書作成をサポートしていく段階でこのテーマに関する細かな知識を深めることができた。そこで今回から2回に亘り寄付金控除の概要、さらにこれら寄付金の確定申告書第2表の記載場所などについて詳しく見ていきたい。

 まず、個人が一定の寄付を行った場合に受けられる控除として代表的なものが「寄付金控除」である。具体的には、国や地方公共団体、特定の法人などに寄附をした場合に受けられる控除であり、現在ブームとなっているふるさと納税もこれに該当する。従って、ふるさと納税について確定申告を行う場合には、まず確定申告書第1表の寄付金控除欄に実際に支出した金額を記入する必要がある(第2表の住民税に関する事項の記入については後述)。 

 次に、特定の公益社団法人等や認定NPO法人等に対して寄付を行った場合に受けられる制度が、「公益社団法人等寄付金特別控除」又は「認定NPO法人等寄附金特別控除」である。こちらは前述の寄付金控除(所得控除)とは異なり「税額控除」であり、課税所得金額から算出された所得税額から直接控除することができる。具体的には、一定の控除限度額に関する計算を行い、算出した税額控除額を第1表の所定の欄に記入する。なお、自身が寄付した団体がこれらの寄付に該当するか否かについては、寄付先から交付される寄付金の受領証や寄付先のホームページで確認することができる。

 以上が主な寄付金に関する所得税法上の取扱いであり、幾つか記入すべき欄や添付書類は存在するものの、決して複雑・難解な内容ではない。だが、問題は第2表の「住民税に関する事項」についてである。そもそも本申告書の名称が「所得税及び復興特別所得税の確定申告書」であるため、住民税に関する記入欄については、第1表及び第2表の上段部分に比べると納税者から軽視されてしまう傾向があるように思える。ちなみに、私自身の経験からしてもこれらの欄の存在に気づいたのは、私が初めてこの業界に入ってから随分時が経ってからであったし、それらの欄が意味するところを正確に知ったのは更にその後であったと記憶している。

 だが、これらは実際には住民税額の計算に直結する重要な項目である。特に寄付金税制が複雑・難解になったことを踏まえ、近年国税庁が作成する手引きにおいても説明内容は充実の度を増しているものの、やはり一般納税者から見れば厳しい論点であると言わざるを得ない。実は、今回私が本テーマを取り挙げた理由は、私の関与先の寄付金に関する申告内容(記載事項や記載欄も含めて全て正しい内容)が翌年度の住民税計算に正しく反映されていなかったためである。私がこれに気づいた後、速やかに納税通知書を発送した自治体宛連絡を取り、自治体側の単純な集計・計算ミスである旨確認を取ったが、このように正しい申告内容であってもミスが起こりうる論点である。まして納税者側が寄付金の詳細について正しく記入していない又は全く記入していない場合、残念ながら本来控除されるべき税額が正しく控除されないという事態は間違いなく発生するだろう。こうした点を踏まえ、次項(1月19日付け記事)では少なくとも納税者側の記入誤りを回避するという観点から、基本的な記入欄と記入すべき数値の概要について説明したい。

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