経済産業省が持続化給付金に関するお知らせを公表
経済産業省は現在、新型コロナウイルス感染症(以下「コロナ感染症」と呼ぶ)により特に大きな影響を受けている事業者に対して支給する「持続化給付金」制度の概要、並びによくある問合せなどを公表している(詳細については経済産業省のホームページ参照)。
既にメディアで広く周知されている本制度は、ごく簡単に言えばコロナ感染症の影響により売上が前年同月比で50%以上減少している一定の事業所に対して、法人には200万円、個人事業者には100万円を限度として支給されるものであり、融資とは異なりその後の返済が不要であり、かつその使途に制限がないという点において補助金とも異なるためその利便性は高く、現在厳しい経営環境下にある中小事業所にとっては大変有り難い施策であると言えよう。
だが一方で、私が最初に本制度の概要を目にした時、本来の趣旨に沿った効果的な運用が行われるかという点が非常に気になった。初見で気づいた事項としては、まず前年何らかの理由によりたまたま月売上高が急増し、今年になって平均的な月売上高に戻った結果、売上高が半減した場合にはどのように取り扱われるのかという点である。制度の趣旨に鑑みれば当然対象から外れるはずであるが、これを客観的に確認することは容易ではない。或いは、上記理由に加えてコロナ感染症の影響も受けたというような複合パターンにより月売上高が半減した場合はどうなるのか。おそらく双方の理由に基づく減少分を合理的に区分できないケースが大部分であると考えられるため、やはり運用に当たっては申請者の良識に委ねつつ、売上減少幅をもって判断していくことになるのであろうか。
次に、現在公表されている給付額の算定式であると、事業所規模の大小にかかわらず給付額が同額(限度額)となることが十分予想される。例えば、年商5億円のA法人と同500万円のB法人が同じ200万円を支給されるケースも十分起こり得るが、この200万円の位置づけは双方の法人で全く異なるはずであり、この点をどう考えるかである。最後に、やはり不正受給の問題は避けられないであろう。特に本年分の売上は自己申告ベースとなることから、例えば行政機関や専門家(公認会計士・税理士など)によるエビデンスを添付することで信用力の担保を図るのか、或いは給付スピード重視であくまで申請者の良識に委ねるのかという点である。現状を鑑みれば後者であろうが、なかなか悩ましいところである。
本制度は令和2年度補正予算案の成立を前提としていることから、今後検討の過程においてこれら問題となり得る要素が多少なりとも解消されることを期待したい。