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青色申告制度の概要とメリット

 我が国の所得税は、納税者が自ら税法に従って所得金額並びに税額を計算・納税するという申告納税制度を採っている。その申告方法には「青色申告」と「白色申告」があり、不動産所得・事業所得・山林所得のある納税者については、一定水準の記帳を行って正しく申告を行っている場合には、青色申告の適用を受けることができる。

 青色申告者については、税務上の様々な恩典を受けることができる。代表的なものとしては、①青色申告特別控除(記帳レベルなどに応じて10万円又は55万円(ETAXによる申告を行っているなど一定の場合には65万円)を所得金額から控除することができる)、②青色事業専従者給与(青色申告者の事業に専ら従事している一定の親族等に対して支払った給与について、一定の金額を必要経費に算入することが可能)、③純損失の繰越し(純損失の金額がある場合において、その損失額を翌年以後3年間に亘って繰り越すことが可能)などである。

 この時期になると、賃貸マンション・アパートのオーナーから不動産所得に係る確定申告の依頼を受けることがある。この中には、相続などにより賃貸用不動産を初めて所有するに至ったことにより今年初めて確定申告を行う納税者もいれば、これまでは自力で申告していたものの、経費の集計など一連の申告作業が面倒になったので税理士に依頼するというケースもあるが、特に後者の場合において青色申告を行っていない納税者は意外と多いと感じる。例えば、過去10年間白色申告であった場合と、青色申告により10万円の特別控除を受けていた場合を比較すると、単純計算で累計数十万円の税額差となりうる。

 最後に、新たに青色申告を行うための申請手続は、原則としてその年の3月15日までに一定の事項を記載した「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する必要がある(新規開業した場合や相続により業務を承継した等の場合には別に定めがある)。これまで白色申告であった納税者については、青色申告を前向きに検討してみてはどうだろうか。

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