諸外国との比較で見た日本の消費税率
今回は、諸外国との比較で見た場合において、日本の消費税率(原則10%)は高いのかどうかという点について考えていきたい。まずこの場合において、国民性や歴史・文化的な背景、租税に関する考え方などが国家間で大きく異なるため、消費税(付加価値税)の税率を単純比較することで、我が国の全般的な税制や経済政策について論ずるべきではないという点は言うまでもない。
まず、スウェーデン・デンマークなど北欧諸国は25%程度という非常に高い税率が課されている。これらの国々は一定の医療費や教育費が無料であることや、老後の生活保障や就業支援の仕組みが充実しており、これらを実現させるための財源が必要であるという点を考えれば順当なところであろう。ちなみに所得税率も日本と比べるとかなり高率であり、特に低所得者層にとってはかなり厳しいのではないかと思えるシステムである。また、北欧以外のヨーロッパ諸国も概ね20%程度という日本の倍近い税率が導入されている。これらの国々には何度か渡航したことがあるが、飲食店や土産物店のレシートを見る度に、なかなかヘビーな税率であることを感じざるをえない。
逆にシンガポール・マレーシア・タイ・台湾などは10%未満であり、税率は比較的低めに抑えられている。個人的にアジア諸国を旅する機会は多いのだが、少なくとも消費税率の高さに驚かされたという記憶はない。また、(あくまで推測であるが)発展途上国の中には消費税のような税金が存在しない国も相当数存在するのではないか。
こうして数値だけを見た上で改めて我が国の消費税率を見た場合、決して世界の平均値からかけ離れたものではなく、先進国間で比較した場合にはむしろ低い部類に属することがわかる。だが、冒頭で述べた通り税率のみを単純比較することはナンセンスであり、その貴重な税収がどのように使われ、我々の生活に役立っているのかという点こそが最も重要である。