ユニットバスの減価償却
つい先日、「賃貸マンションの1室のユニットバスが老朽化したことに伴い、今般設備一式を買い替えたいのだが、その際の税務上の取扱いはどうなるのか?」との質問が寄せられた。固定資産の買い替えはマンション経営を行っていれば避けられないテーマであり、特に税理士が関与していないオーナーについては、各人の考え方に基づく様々な処理を行っているものと推測される。
その中には、老朽化したことによる取替=修繕費との思考に至って全額を修繕費として計上してしまうケースも少なくないであろうが、これは(100%の断定はできないが)一般的には正しい税務処理とは言えず、やはり資本的支出に該当するため固定資産として計上し、毎期均等額の減価償却を行うことで費用化していくことになる。ここで問題となるのはその償却年数を何年にすれば良いかという点である。
製品の機能面から見た場合には15~20年程度が妥当なのかもしれないが、結論から言うとそのユニットバスが設置される「建物」と同様の耐用年数により減価償却していく必要がある。詳細な説明は割愛するが、その根拠としてはユニットバスが建物と一体不可分であることから、冷蔵庫やエアコンのような器具備品には該当しないというものである。従って、法令上は木造マンションの場合には22年、鉄筋コンクリート造の頑丈な建物である場合には47年もの長期間に亘って減価償却を行っていく必要がある。
製品自体の機能面の耐用年数と大きく乖離する場合には、本取扱いについて釈然としない点もあるかもしれないが、例えば浴槽一式=器具備品、水回りの工事=給排水工事、といった思考で耐用年数を決定することのないよう注意したいところである。