足立区が一定の給与所得に関する住民税の徴収方法を変更
現在給与所得者の個人住民税については、一定の場合を除いて会社が給与等から天引きし、各自治体に対して納付する特別徴収が義務付けられている。しかしながら、例えば確定申告書の第2表「住民税に関する事項」の「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」欄で普通徴収(自身で住民税を納付)を選択することで、実務上普通徴収による納付が行われているケースは決して少なくないものと考えられる。
納税者側が普通徴収を選択する理由は幾つか考えられるが、例えば副業していることを主たる給与の事業者(特別徴収義務者)に知られたくないなどの希望により、副業分の給与に対する税額を普通徴収で納付する旨の申し出を行い、自治体側も納税者の意向に沿った取扱いを行ってきた実態があった。
しかし、足立区では令和5年度(令和4年分の所得)以降より、2社以上の勤務先から給与の支払いを受けている場合の給与に対する税額の納付方法について、全ての給与を合算して税額を計算し、給与に係る住民税を全て特別徴収義務者から特別徴収することとしている。その理由として同区では、①地方税法の規則に則った取り扱いにすること、②住民税額以外の情報が特別徴収義務者に知られることがないこと、の2点を挙げている。このうち②について、一昔前までは税額通知書の内訳が会社の経理担当者の目に留まり、この内訳の記載内容から他の所得の状況が知られてしまう懸念があったのだが、現在の税額通知書は給与から差引く税額のみが記載され、所得や控除の内訳は記載されていないため、こうしたリスクはないとしている。
個人住民税の納付税額自体は変わらないが、各期の納付税額や納付回数が変更となることにより納付計画には影響すると考えられるので、該当者におかれては今回の変更内容をしっかり把握しておく必要がある。
なお、詳細は足立区のホームページ参照。