1. HOME
  2. ニュース
  3. 住宅取得等資金の贈与

NEWS

お知らせ

税理士業務

住宅取得等資金の贈与

 相続対策の一つとして生前贈与が挙げられるが、その中でも最近注目を浴びているのが「住宅取得資金等の贈与」である。簡単に説明すると、祖父母・父母から子・孫に対して住宅取得等のための資金を贈与する場合には、一定額が非課税になるという制度である。通常の贈与では、非課税限度額(年間110万円)を超えるとその超えた部分について贈与税が課されるが、本制度を活用することにより、効率的に財産を子・孫に移転できる。対象となる費用の範囲としては、住宅の建築業者に支払う費用の他、建築士に支払った住宅の設計料や電気設備をはじめとする附属設備の取得費用なども含まれるが、不動産仲介手数料や不動産取得税・(住宅登記時に要する)登録免除税などの租税公課は含まれない。ちなみに、平成27年における一般的な住宅建築のための非課税限度額は1,000万円(良質な住宅建築の場合には1,500万円)となっている。この非課税限度額は年によって異なるのだが、平成28年以降は極めて複雑な制度設計となっている。

 折しも先月、一般納税者から「平成28年以降の住宅取得資金等の贈与を受けた場合における非課税制度に関しては相当優遇されているようだが、仕組みがよくわからないので教えてほしい」との相談が寄せられた。確かに、消費増税の影響もあって制度設計は一見しただけではわかりづらい。簡単に説明すると、消費税率8%適用時と同10%適用時では非課税限度額が大きく異なるという点が最も重要である。これは消費増税に伴う住宅着工需要の冷え込みを緩和するための措置であり、当然のことながら10%適用時の方が非課税限度額は大きい。

 次に、この双方については重複適用が可能である。例えば、平成27年(税率8%時)に住宅資金の贈与を受けて住宅建築・居住したものの、平成30年(税率10%時)になって何らかの事情によりそれを売却し、代わりに新たな住宅建築のための資金贈与を受けた場合、各適用時における非課税限度額をそれぞれ利用することができる。前者についてはそれほど難しくないが、後者は内容をしっかり理解していないと、上記の平成30年における非課税限度額について(平成27年に利用した非課税枠を控除した残額が限度額であるという)誤った認識を持ってしまう恐れがあるので、十分留意したいところである。

 なお、前項の相談内容と直接関係はないが、平成27年以降の住宅取得資金等の贈与については、住宅資金の非課税限度額の判定基準が「住宅用家屋の取得等に係る契約の締結期間」となっている(平成26年以前は贈与時期で判定)。例えば、平成27年中に工事契約を締結して同時に住宅取得資金等の贈与を行った場合、法律上は贈与を行った年の翌年3月15日までにその住宅に居住していることが求められているため、従前の贈与時期により判定を行った場合、住宅の完成・引渡しが翌年3月15日までに間に合わない可能性もあった。と言って、これを避けるために贈与時期を翌年にすると、肝心の非課税限度額に影響する。しかし今回の改正により、例えば平成27年中に工事契約を締結して翌年になってから住宅資金贈与を行った場合、平成27年分の非課税限度額が適用される一方、申告期限は翌々年の3月15日までとなるため、上記のような不都合が生じる可能性は低くなる。本件は、他の改正項目と比べるとそれほど目立たない内容ではあるが、しっかり確認しておきたいところである。

最新記事

料金プラン(法人)

料金プラン(個人)

料金プラン(法人・個人)