厚生労働省が2024年労働力調査の結果を公表
厚生労働省はこのほど、2024年労働力調査(基本集計)の平均結果の要約を公表した。本調査は、我が国における就業及び不就業の状態を明らかにするための基礎資料を得ることを目的とした統計法に基づく基幹統計調査(国勢統計、国民経済計算その他国の行政機関が作成する統計のうち総務大臣が指定する特に重要な統計)であり、一定の統計上の抽出方法に基づき選定された全国約4万世帯を対象として毎月調査が行われている。
調査結果の概要を確認していくためには、まずは各用語の定義をしっかり押さえてしておく必要がある。15歳以上人口は労働力人口と非労働力人口(通学・家事・高齢者など)で構成され、労働力人口は就業者と完全失業者(①仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)、 ②仕事があればすぐ就くことができる、③調査週間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)、の3つの条件を満たす者)、に区分され、さらに就業者は従業者と休業者に分けられる。ちなみに社会保険労務士試験の一般常識系科目では、厚生労働省が実施する各種統計調査から出題されるケースが非常に多く、その中でも労働力調査の内容は頻出論点であったと記憶している。
それでは結果概要について見ていくと、まず2024年平均の就業者数は6,781万人と前年に比べて34万人増加し、これを産業別にみると「情報通信業」「医療・福祉」「宿泊業・飲食サービス業」が増加している一方、「製造業」「農業・林業」「建設業」では減少している。第3次産業の就業者数が増加し、逆に第1~2次産業の就業者数が減少している流れは概ね予想通りであるが、一方で税理士業務を通じて建設業を営む関与先から人手不足の話を頻繁に耳にするに及び、人材の需要と供給に関するミスマッチを感じざるを得ない。
次に、完全失業率は2.5%と前年に比べて0.1ポイント低下し、完全失業者数についても176万人と前年に比べて2万人減少し、3年連続の減少で推移している。数字上は年々改善しているように見えるが、上記の完全失業者の定義で触れた通り、例えば労働力人口の高齢化などにより就業者数が増加すれば必然的に低下すること、そして調査週間中に1時間でも仕事をすれば完全失業者には該当しないこと、については留意する必要がある。
さらに、労働力人口(就業者数と完全失業者数を合わせた人口)は6,957万人と前年に比べ32万人増加しており、これを男女別にみると男性は3,800万人と1万人減少している一方、女性は3,157万人と33万人増加している。この理由としては、高齢者や育児・介護などに関する様々な法整備等を通じて、労働意欲を有する高齢者や女性が増加していることが影響しているものと考えられる。なお、詳細は厚生労働省のホームページ参照。