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定年年齢の引上げと在職老齢年金の満額支給の対象拡大

 事業所に勤務する従業員の定年を定める場合、現在その年齢は60歳を下回ることができない。一方、昭和中期~後期の定年は一般的に55歳であったようであり、私の祖父も55歳から約20年間に亘って公的年金を受給しながら悠々自適の生活を送っていた。だが、現在は人生100年時代と言われており、この60歳という年齢を聞いて意外と低いと感じる方は多いと思うが、少なくとも法令上はそのように定められている。

 但し、定年年齢を65歳未満に定めている事業主は、その雇用する高年齢者の65歳までの安定した雇用を確保するため、「65歳までの定年の引上げ」「65歳までの継続雇用制度の導入」「定年の廃止」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を実施する必要があり、さらに定年年齢を65歳以上70歳未満に定めている一定の事業主は、「70歳まで定年年齢を引上げ」「70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)の導入(他の事業主によるものを含む)」「定年制を廃止」などのいずれかの措置を講ずるよう努める必要がある。そしてこうした措置を通じて、公的年金等を受給しながら会社勤務を続けるという方が大幅に増加し、必然的に標記の問題がクローズアップされることとなった。

 まず在職老齢年金とは、60歳以降に在職(厚生年金保険に加入)しながら受ける老齢厚生年金のことを言い、この年金額については賃金と年金額によってその一部又は全部が支給停止される場合がある。具体的には令和7年度の場合、賃金と年金額の合計額が51万円を超える場合、51万円を超えた金額の半分が年金額より支給停止される。極めて簡潔に言えば、勤務して一定額以上の収入がある年金受給者に対する年金支給額を減額する制度であるが、昨年から話題になっている年収の壁と同じく高齢者の働き控えを招く可能性があるため、現在深刻化している人手不足を解消するため令和8年4月よりそのボーダーラインが51万円から65万円に引き上げられる。ちなみに在職老齢年金は、社会保険労務士試験の厚生年金保険法の出題範囲の中でもボリーミーな論点であり、また毎年覚える数値が変わることに加えて難解な内容も多かったが、実務上重要であろうことは認識していたので、私が受験生であった時は特に力を入れて学習した記憶がある。なお、この支給停止額の対象として老齢基礎年金部分が含まれないという点は多くの方が誤解しているようであり、私自身も試験勉強を始める前まではその理解が必ずしも十分でない論点であった。

 私の関与先や知人に関して言えば、少なくとも70代の経営者や会社勤務者は散見され、中には80代半ばでも現場作業に従事している方もいる。少子高齢化による労働力人口の減少が不可避である中、公平・公正な制度の導入を通じて労働力人口の確保と高齢者の就業意欲の促進という一石二鳥の効果が得られれば、現在我が国が直面する様々な問題の解決に資することが期待できよう。

 なお、在職老齢年金制度の詳細については、厚生労働省のホームページを参照。

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