令和7年分の無料申告相談業務への従事②
本相談会への従事日数は原則1日のみであるため、特に午前中はパソコン操作や相談内容の正確な理解を行うことに苦労を強いられ、これは私のみならず他の相談員についても概ね同様であると考えられる。ここ数年間は、この午前中の時間帯に中途退職者や年金生活者の確定申告など比較的オーソドックスな内容が続くことが多かったので、これらの相談にしっかり対応してリズムを掴むと、仮に午後に手強い相談が来てもスムーズに対応しやすくなる。しかし、今年は例年と異なり定型パターンではない相談が多かったことが強く印象に残っている。
具体的には、まず午前中最初の相談者が外国人であり、かつ海外所得絡みの複雑な内容であった。本相談会の開催趣旨が小規模納税者などを対象としていることに加えて、相談者1人に割ける時間に限界があることから、複雑な内容については本相談会場で受けられない旨は相談希望者向けに事前にアナウンスされており、本件についても会場責任者に確認した上で対応不可との判断になった。譲渡所得や住宅ローン控除など対応できない旨があらかじめ明記されている事案以外で対応不可の内容に遭遇したケースは、私が従事してきた約15年間を通じて初めてであった。ちなみに結果的に対応不可にはなったものの、冒頭相談を受けている際には相談者が外国人ということもあってその内容に関する正確な理解が容易ではなく、相談終了後はかなり疲労した。
その後の相談はオーソドックスなパターンが続いたが、午前中最後の相談は「事業所得の申告について、どこから手を付けて良いかわからないのでアドバイスが欲しい」という、申告書作成・提出を伴わない内容であった。私の知る限りでは相談者の大部分が申告書の作成・提出まで行う前提で来場しているが、相談自体を目的とする納税者も申込可能である。だが、午後にも(内容は全く異なるものの)相談オンリーの来場者の相談を受け、例年に比べて相談オンリー率が高いと感じた。その理由としては、インボイス制度の導入など近年の様々な税制改正により税務が複雑化していることが大きく影響しているものと考えられ、今後この流れは益々強まっていくことだろう。
さらに、外国人相談者の割合が高まっていることも特徴的であった。ここ数年は1日当たり1人の割合で受けることはあったが、今年は前述の相談者も含めて2人受け、かつ私の周囲でも外国人と思しき相談者を時々見かけた。令和8年1月に厚生労働省が公表した資料によると、令和7年10月末時点における外国人労働者の人数は約257万人と過去最多に達しており、これに伴い中途退職者や個人事業主などが来場するケースも更に増加することだろう。
最後に、本相談会で初めて更正の請求に対応した点を挙げたい。修正申告や更正の請求については受付可能ではあるものの、限られた時間内で対応することが容易ではなく、書類の提出・作成まで至らないことも多いようだが、今回はしっかり提出まで対応することができた。だが、通常の申告書作成に比べると複雑なパソコン操作が求められ、不慣れな故に予想以上の時間がかかってしまったので、この点に関しては内容次第で判断していくことになるのだろう。
以上、今年の「税理士による令和7年分の無料申告相談」に関して、例年と比べて開催までの流れや相談内容が非常にイレギュラーであったことについて2回に亘り紹介してきた。今後も更なるDX化の進行や税制の複雑化が予想される中、年齢を重ねるにつれてこうした変化にスムーズに対応していくことは決して容易ではないが、税の専門家としてしっかりアップデートを行い、もって相談者に対する一層円滑かつ正確なサポートを心がけていきたい。






