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税理士業務

現行の消費税制度について考える

 前回の記事(消費税の課税売上に該当しない取引例)を掲載した後、たまたま足立区のホームページを閲覧していたところ、「情報開示請求に係る費用の消費税法上の取扱いについて」と題する記事が掲載されており、その内容が前回の記事とも関連しているので、今回は私が常々感じている現行の消費税制度の問題点を交えて紹介したい。

 まず上記の概要としては、「足立区の情報公開条例及び個人情報保護法施行条例に基づき支払われる開示に要する費用(写しの作成及び被覆の処理に要する費用。但し、写しの送付に要する費用を除く。)について、令和4年度以降消費税の課税取引として領収書を発行していたが、当該費用の消費税法上の取扱いについて税務当局に確認したところ非課税であると解されるとの見解が示されたので、これを受けて上記の取扱いを変更する」という内容である。仮に私がこの論点に遭遇した場合には、消費税の非課税取引のうち「国等が法令に基づいて行う一定の事務に係る役務の提供で、法令に基づいて徴収される手数料」に該当する可能性を真っ先に考えるが、何らかの理由でその気づきや確認が十分に行われなかったようである。

 ちなみに、自治体の消費税に関する最近のニュースとしては、特別会計に一定規模の課税売上高があるにもかかわらず、約20年間に亘って消費税が未納であった東京都のケースが記憶に新しい。前年の処理を踏襲することでミスが長期間に亘って放置されてしまった典型例であると考えられ、メディア等でも批判的な論調で報じていた。さらに2~3年前には、障害者相談支援事業に係る消費税課税区分の誤りが多数の自治体で発覚したケースもあった。

 上記の誤りについて、無論行政側が十分な確認を怠ったことについて責任があることは明らかであるが、消費税制度の複雑さやわかりづらさもこうしたミスを誘発している大きな原因であると考えている。私が税理士事務所を開業したのは平成24年であるが、その時点でも既に簡易課税制度の業種区分、納税義務の判定と課税事業者の選択、調整対象固定資産の取扱いといった難解な論点が山積しており、かつ誤処理や失念による税額へのインパクトが多額になるケースも決して少なくないことから、他の税目以上に細心の注意を払う必要があった。そして約15年が経過した現在でも、2回に亘る税率の引上げ、軽減税率制度の導入、インボイス制度の導入とこれに伴う様々な経過措置の創設、など大改正が次々に行われ、現在は飲食料品に限定して消費税率を2年間ゼロにすることが検討されているなど益々複雑化しており、一般納税者が自力で正しい申告を行うことは一層困難になっている。

 前述のようなミスを完全にゼロにすることは現実的には困難かもしれないが、0に近づけるための最善の努力を継続的に行っていくことは不可欠であり、かつ制度そのものを簡素化することが大変重要であると考えている。一般納税者や自治体はもとより、税理士であってもそのスムーズな理解に苦労する現行制度が更に複雑化することのないよう、シンプルな制度設計を強くお願いしたいところである。

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