足立区内で実施予定であった税理士による無料申告相談会の中止
毎年確定申告時期が到来すると、全国各地において税理士による確定申告無料相談会が行われるが、令和3年度(令和2年分)については新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑み、足立税務署及び西新井税務署管轄ともに中止となった。私も税理士事務所開業以来、本相談会にはのべ十数回従事しているが、相談会自体が中止となった年は初めてである。緊急事態宣言の再発令、そしてその後も感染者数が大幅に減少していないことから、その実施は厳しいのではないかと考えていたので、中止は順当な判断と言えよう。
その理由としては、まず相談会場が大変密になりやすいことが挙げられる。私が毎年従事している足立区役所の場合、午前9時半前後から相談開始となるが、開始時間前には既に数十人が受付を済ませており、その後も相談者がほぼ途切れることなく数時間同様の状態が続く。次に対面相談の上、その相談時間も1件当たり数分程度で済ませることは困難であることが挙げられる。また、ボールペン・ホチキス・糊などを相談者が入れ替わり使用する点も感染防止にとってはマイナスである。さらに、相談者に介助が必要などの理由により1件の申告について複数名で来場するケースも少なくない。最後に、相談者は高齢者が圧倒的に多いと言う点である。本相談会において最も多いと考えられる相談内容は、公的年金等に加えて給与所得がある場合や医療費控除の適用を受けるケースなどであり、かつ平日の日中開催ということで高齢者による相談が非常に多い。特に重症化リスクが高いと言われている高齢者が3密環境に長時間留め置かれることは、感染対策にとっては明らかにマイナスと言えよう。
それでは、こうした状況下において令和2年分の確定申告はどのように対応すれば良いかという点であるが、感染対策の観点から見ればやはりETAX(電子申告)の活用が最も好ましいだろう。最初は敷居が高いと感じるかもしれないが、慣れてしまえば2年目以降はスムーズに申告を済ませることができる。また、事前に入場整理券を入手して税務署で直接相談するという方法もあるが、会場内の感染対策が本当に十分であるかという点に加え、何分にも今回初めての試みであるため諸々の混乱も十分予想される。一方で還付申告の場合には、確定申告期間とは関係なくその年の翌年1月1日から5年間提出することができるため、感染状況が落ち着いた頃合いを見て対応することも十分考えられる。
いずれにしても、1日も早くコロナ感染症が終息し、通常のオペレーションに戻る日が来ることを願って止まない。