駐車場賃貸収入の消費税法上の取扱い
残り10日ほどで確定申告期間を迎え、そろそろ申告作業に向けた様々な動きが本格化しつつある時期であるが、こうした中で先般駐車場の賃貸を行う知人から相談を受けたので、その備忘録も兼ねてまとめておきたい。
まず、駐車場賃貸のテーマに入る前の基本的な論点として、土地の貸付けは原則として消費税の非課税取引となる。例えば地主に対する支払地代が典型的な例であり、この他借地権のような土地の上に存する権利や地主に対して支払う権利金・更新料などについても同様である。この論点は実務上の頻出事項であるが、先の知人と同様に誤った理解をしている納税者は決して少なくないと思われる。
この点を踏まえた場合、駐車場の貸付は実質的に土地の貸付であるので、上記と同様の取扱いがなされるのではないかとも考えられるが、残念ながらその答えはNOである。というのは、建物や駐車場など施設の利用に付随して土地が使用される場合には、消費税の課税対象である旨の規定が存在するためである。従って、例えば立体駐車場やアスファルト舗装が施された駐車場については、明らかに駐車場としての利用を想定したものであるため課税対象となる。
また、例えばオフィスビルを賃貸する場合において、敷地部分の賃貸料を区分して記載している場合には、建物の賃貸料は課税対象となる一方、敷地部分の賃貸料は非課税に該当するのだろうか。この点について国税庁では、「ビル等の貸付けの対価は、その建物の所在する場所の地価によって決定される場合が多いとしても、それは賃貸料を決める場合の一要素に過ぎない。また、ビル等の貸付けに伴う土地の使用は、そのビル等の貸付けに必然的に随伴するものであり、その使用は土地の貸付けに該当しない。従って、賃貸借契約において敷地部分の賃貸料を区分して記載している場合であっても、その部分を含めた賃貸料全額が建物の賃貸料として課税の対象となる」としている。
特に不動産に関連する消費税の取扱いについては複雑な論点が多く、かつ誤処理における税額へのインパクトも大きくなる可能性があるため、その処理には一層の注意が必要である。