無申告状態の解消に向けた手順(作業編)
資料収集を一通り終えた後は、記帳・決算及び確定申告書の作成作業に取り掛かることになり、まずは正確な年間売上高を算出する必要がある。本件については、年度内に役務提供(作業)が完了した分に係る請求書控を合計することで算定可能であるが、請求書控を保存していない場合には、口座への振込入金額をピックアップ・集計していくことになる。但し、この場合にはあくまで発生ベースで集計する必要があるため、例えば3月決算の法人の場合、特に前年4~5月入金分と当年4~5月入金分の処理には要注意である。さらに現金売上の場合には、例えば必要に応じて取引先への確認を依頼するなど、売上計上漏れが生ずることのないよう一層の注意を払っている。
次に年間仕入及び外注費については、基本的に上記の年間売上高と同様の作業手順で進めており、やはり期首・期末前後の支払いについては要注意と言える。また、建設業の場合には「未成工事支出金」の計上も重要論点であるが、仮に工事毎の金額を厳密に集計することが困難な場合には、例えば工事完了までの平均サイクルや期末前1~2か月の原材料仕入高や工事進捗度などを総合的に勘案した上で、合理的な金額を計上していくことにならざるをえないだろう。
続いて販売費及び一般管理費については、業務に関連のある支出は漏れなく計上することを強く意識する必要があり、そのための手間を惜しんではならないという点が重要である。まず経費総額に占める割合が高い給与や法定福利費については、未払の源泉所得税や社会保険料についても意識した上で正確に処理していく必要がある。また、例えば水道光熱費、通信費、保険料、地代家賃など毎月発生する支払いをしっかり計上していくことは課税所得の着実な減少に繋がるので、仮に月毎の領収書等が見当たらない場合には、支払先に連絡して明細書類などを入手するよう促している。
加えて、消費税をはじめとする租税公課(自動車税、固定資産税など)や減価償却費の計上は一般納税者が失念しがちな論点であり、かつ多額であるケースが多いので、仮に書類上で取引事実が確認できない場合には別途ヒアリングするよう心掛けている。さらに、クレジットカード(CC)を利用している場合、基本的にCC利用明細書に基づき記帳を進めているが、CC払いの領収書を現金払いとして二重処理しないよう確認を行っている。
上記の他にも、事業所の取引の特性に応じた多種多様なケースがあるが、最も肝心な点は、前述の通り手間を惜しまず丁寧に資料収集及び集計を行っていくことであり、その手間が納税額の減少や翌期以降の適正な決算・確定申告にも繋がっていくものと理解している。






