無申告状態の解消に向けた作業手順(書類収集編)
過去の確定申告を行っていないため今からまとめて申告したいのだが、何から手を付けて良いのかわからないので丸投げで依頼したい。当所の開業後2~3年間は、特にこうしたイレギュラーなスポット案件に関与する割合が相対的に高かった。一般的な確定申告業務に比べると難易度が高く、かつ申告内容によっては複雑なパズルを解くような慎重さと根気強さが求められるが、この時に培った実務経験は今の業務にも大いに役立っている。そこで今回は、無申告状態にある法人及び個人事業所の確定申告作業を行う際の大まかな作業手順について、当所の業種別関与割合が最も高い建設業のケースを例として、個人的な見解に基づき簡潔に紹介したい。
まずは必要書類の収集であり、特に複数の事業年度又は年(以下「年度等」と呼ぶ)分をまとめて作業する場合にあっては、最重要工程であると言って良いだろう。想定される書類は多数あるが、その中でも前年度等の総勘定元帳(帳簿)と確定申告書、及び過年度等に提出済の申請・届出書類は必須である。仮に前者が手元にない又は不正確な内容である場合、当期首の正確な貸借対照表を作成することが困難であり、これらの復元又は修正作業には相当の時間を要する。また、これらが入手できた場合であっても、貸借対照表の勘定科目の内訳が不明確なケースは非常に多く、その確認作業もかなりの負担になりうる。一方、後者を疎かにした場合には、源泉所得税や消費税に関して大きなミスに繋がる恐れがあり、特に消費税に関しては一層慎重な確認が求められる。
次に重要な書類としては、金融機関の通帳コピーが挙げられる。年間を通じた取引事実がそのまま記載されている最も客観的な書類の一つであるが、少なくとも私の経験上では対象年度等分の通帳が見当たらない、或いは一部の期間について合算記帳されているので明細が不明というケースも多いため、この場合には金融機関に連絡して過去の取引明細書を入手してもらう必要がある。ちなみにこのケースは、当所が(過年分が無申告ではない)個人の確定申告業務をスポットで受任する際にも時々遭遇し、当所では事前に対象年分の記帳が漏れなく行われている旨を必ず確認している。また、金融機関の取引明細書以外でも、外部機関等への依頼を通じてその支払額が確認できる書類については、必要に応じてこの段階で入手している。
続いて、支払いに関する契約書類の確認も欠かせない。具体的には、事務所家賃や駐車場の賃貸借契約書、機械や事務機器のリース契約書などであり、加えて機械・車両など固定資産を購入している際には、その取引内容が確認できる書類の入手が必要である。さらに、取引先から交付された請求書・領収書や現金払いの領収書といった書類収集も不可欠であるが、これらの書類が見当たらないというケースも多く、仮にその場合にはその時の取引内容が記載されているメモ書きなどでも構わないので、取引事実が確認できるあらゆる書類の提供をお願いしている。






