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最低賃金制度の概要及び令和6年度都道府県別最低賃金の引上げ

 去る10月1日に新たに総理大臣に就任した石破首相は、就任記者会見において「2020年代に最低賃金の全国平均を1,500円に引き上げることを目指す」と述べた。最低賃金のアップについては、毎年この時期になるとメディアで取り上げられていたことは記憶しているが、私自身がこのテーマについて強い関心を持つに至ったのは社会保険労務士試験受験後であり、それまでは最低賃金の全国加重平均額を知っている程度であった。

 まず「最低賃金制度」とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定め、使用者はその最低賃金以上の賃金を労働者に支払わなければならないとする制度であり、その目的は賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することである。ちなみにこの最低賃金法の目的条文は、社労士試験受験時には暗記していたので、今でもしっかり記憶している。

 次に、最低賃金には地域別最低賃金と産業別最低賃金があるが、地域別最低賃金にテーマを絞って話を進めると、地域別最低賃金(時間額)は、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案し、地方最低賃金審議会の審議などを経て都道府県毎に決定される。ちなみに、令和6年10月時点における最低賃金の全国加重平均額は1,055円(昨年度は1,004円)、引上げ幅は51円(昨年比5.1%増)であった。都道府県別では、最も高いのが東京都(1,163円)、続いて神奈川県(1,162円)、大阪府(1,114円)であり、引上げによって最低賃金が1,000円を超えたのは、昨年までの8都府県から2倍の16都道府県に拡大した。あと数年で全国平均1,500円はかなり高いハードルであるが、現在の上昇ペースを更に加速させて大幅なアップが実現できれば不可能ではない。

 また、最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金であり、残業代や賞与は対象外である。さらに全ての地域別最低賃金は時間額で定められており、例えば日給制の場合には日額を1日の所定労働時間で除した金額、月給の場合には月給を1か月の平均所定労働時間で除することにより最低賃金を計算することになる。

 ちなみに、私が社会保険・労働問題に関するテーマのうち特に最低賃金に注目した理由は、最近脚光を浴びている幾つかの補助金や助成金の申請に深く影響しているからである。例えば以前紹介した業務改善助成金では、事業場内最低賃金について一定の引上げを行うことが要件となっており、さらに経済産業省が実施する補助金の中には、事業内最低賃金が地域別最低賃金を一定額上回った場合には審査上加点される仕組みが設けられている場合がある。これらの具体的な要件等の詳細については各補助金・助成金のホームページに掲載されているので、ご関心の向きは是非ご覧いただきたい。

 なお、詳細は厚生労働省のホームページ参照。

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