社会保険労務士資格の効果的な活用方法②
社労士資格の活用方法として次に考えられる点としては、研修会の参加を通じて社会保険や労働問題に関するタイムリーな知識を修得できることが挙げられる。ちなみにこの記事を書いている時点では、令和6年10月1日から短時間労働者に対する社会保険の適用範囲について、従業員数51人以上の事業所に勤務する一定の短時間労働者に拡大されたことがテレビ・新聞等で頻繁に報じられ、本テーマに関する研修会にも参加した。この点については、私のような他士業の開業者のみならず全ての非開業社労士に共通するメリットであると言える。特に社労士が取り扱うことができる業務範囲は大変広いことから、おそらくどのような立場で本業に従事していたとしても、現在の本業にとってプラスになる内容は必ず含まれているだろう。
さらに前項とも関連するが、新聞などで取り上げられる社会保険に関するニュース記事に対して一層強い関心を持つことができた点も挙げられる。私自身の経験では、少なくとも社労士試験受験前は税金に関する記事やその内容に対しては敏感であった一方、社会保険に関する記事は一通り読むといった程度であったが、最近では税・社会保険双方ともに同程度の関心を持ってしっかり確認している。例えば、最低賃金(石破総理が2020年代に全国平均1,500円を目指す旨を表明)についても、以前は現在の全国平均が〇〇円といったピンポイントの知識のみであったのに対して、今では都道府県別の最高額及び最低額、さらに対前年比での増加額といった項目にも着目するなど体系的な理解に努めている。また、ごく最近話題になっている「〇〇万円の壁」の問題についても、税・社会保険双方に関する正しい知識がなければその全体像を把握することは難しいだろう。
最後に、社労士会が実施する研究会や懇親会などへの参加を通じて人脈形成や様々な生の情報を得られる点も大きい。特に今後開業を検討している社労士にとっては、登録を通じて開業社労士と同様に支部活動や研究会に参加することで、多くの先輩社労士に出会えることは大きなメリットであり、これはどの士業であっても概ね同様ではないかと考えられる。
以上2回に亘り、開業社労士以外の社労士資格の活用方法について見てきたが、少なくとも資格取得後に何もせずそのまま放置というのは、(資格取得自体を目的とするケースを除いて)その取得までに要した金銭・労力などを考えた場合には勿体ないので、現在各自が置かれている立場で、自身にとって何らかのプラスになり得る形で活用を図っていくことが好ましいと考えられる。