少額減価償却資産の上限引上げと適用時の留意点
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(以下「本特例」と呼ぶ)について、今年の4月1日から対象となる減価償却資産の取得価額が40万円未満(従前は30万円未満)に引き上げられた。まず本特例について説明すると、一定の中小企業者等が、取得価額が40万円未満である減価償却資産を取得などして事業の用に供した場合には、一定の要件のもとにその取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる制度であり、中小企業の節税策として大変有効であるとともに、法人・個人問わず実務でも頻繁に遭遇する。
私が税理士試験の受験生として法人税法を学習していた際も、この上限金額は30万円であったため、少額減価償却資産=30万円は完全に私の頭の中に定着している。無論、税法は毎年のように改正が行われるため、定着している知識を常にアップデートさせていくことは必須であるが、前述の通り実務でも頻出論点であり、かつ本特例の適用を受けるためには所定の事項を記載した書類を申告書に添付する必要があることから、今後は取得価額35万円の固定資産を無意識に資産計上することのないよう十分注意したいと考えている。
さて、ここからが本題であるが、例えば事業と家事(プライベート)の双方で使用している資産について、この上限金額は事業供用割合の按分前又は按分後のどちらの金額で判定するのだろうか。例えば、取得価額45万円の固定資産を購入してその事業供用割合が50%である場合、仮に按分後で判例するのであれば本特例の適用が受けられるが、按分前であれば資産計上した上で法定耐用年数により減価償却していく必要がある。結論としては、按分前の取得価額によって判定する必要があるため、前述の設例の場合には本特例の対象外となる。個人事業主の確定申告においては実務上頻繁に遭遇しうる論点であり、かつその年の納税額にも少なからず影響することになるので、しっかり押さえておきたいところである。
ちなみに、これまでも設けられていた適用限度額(適用できる取得価額の合計額)の300万円は変更されない。私の経験上では、開業又は設立初期の設備投資時や、同一の少額減価償却資産を多数同時に取り替えるような際に遭遇することが多く、やはり中小企業の税務にとっては重要であるため改めて確認しておく必要がある。






