資格試験を再受験する際の留意点②
次に、本試験受験から合格発表までの期間に全く勉強をしていない場合、勉強のリズムを再構築する必要がある。これまで余暇などに充てていた時間を急に試験勉強のために割かざるをえないわけであるから、そのサイクルを早期に転換するためには合格に向けた相当強固な意志が求められることは言うまでもない。また、例えば会社員として勤務しながら勉強している社会人受験生の場合には、転勤や部署の異動などで本業が多忙になるとなかなか勉強に着手できず、結果として受験を先送りせざるをえない状況になりうる。さらに、育児・介護など家庭の事情に起因する問題に直面した際にもドロップアウトしてしまう可能性がある。いずれにしても再受験できる方については、まずもって再受験が可能な環境下にいることを心から感謝する必要があるだろう。
続いて、前回の受験時点に比べると知識レベルがかなり低下していることから、速やかにそのレベルまで戻していく必要がある。暗記した文章やキーワード、計算パターンなどについては必然的に再度覚え直すことになり、そのためには相当な時間数を要すると考えるかもしれないが、一から覚え始めるのに比べれば一度学習済の論点を暗記することは、初回に比べれば大変ではないだろう。中には実務ではほとんど登場しないようなワードや数字を暗記することに嫌気がさすという気持ちの問題もあるだろうが、これは合格のためと割り切ってチャレンジするしかない。一方、再度覚えた知識をスピーディーにアウトプットできる流れを再構築していくことも重要であるが、こちらは意外と大変であるかもしれない。特に横断的な知識を問う応用問題への対応についてはある種の「気づき」が必要であるが、この勘所を高めていくためには継続的な学習を通じて基本論点の精度を高め、さらに様々な問題を解いていくことで経験値をアップさせていくことが必要であろう。
さらに、資格予備校を利用している場合、同じ予備校で学習した方が良いかどうかも悩ましい点である。私の場合、上記の全ての国家資格等について同じ予備校を利用していたため参考にならないかもしれないが、個人的には1回の不合格をもって安易に予備校を変えることはお勧めしない。但し、利用している予備校とは別の予備校で模擬試験のみを受験することについては、予備校慣れを避ける意味では有効と考えており、私も税理士試験について全国模試だけは他校の分も受験していた。なお、各予備校には初学者向けコース(以下「初学者コース」と呼ぶ)に加えて受験経験者向けコース(以下「経験者コース」と呼ぶ)が開設されていることが多いので、仮に合格レベルには達していたものの僅差で不合格であった場合には経験者コースを選択し、逆に合格とはほど遠い点数であったり、再度一から着実に学習を進めたい場合には、初心に帰って初学者コースを選択することが好ましいだろう。