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ふるさと納税実施に当たっての留意点

 以前も度々触れてきた本件については、年末になると関与先からの相談が増加する。特に12月に入るとテレビCMや新聞広告なども毎日のように見掛けるようになり、駆け込みでふるさと納税を行う方は非常に多い。現在はふるさと納税に関する様々なサイトが掲載され、その魅力やメリットなどについても詳しく紹介されており、一般納税者にとっても非常に馴染み深い制度となっている。本制度自体についての賛否はあるだろうが、少なくとも一般納税者の申告や納税に関する理解増進に寄与しているという観点からは好ましいと考えている。

 まず本題に入る前に、これらの納税者の中には、ふるさと納税を行うことで所得税・住民税の節税になると理解している方々が決して少なくないものと考えられ、実際私の知人や関与先からも同様の質問を受けることが度々あるのだが、これは大きな誤解である。広告等でしばしば見かける本制度のアピールポイントは、「一定の要件を満たした場合には、実質2千円の寄付で各自治体から様々なお礼の品が貰える」であり、通常ふるさと納税額を超えて税金が還付されることはない。極めて端的に言うならば、お礼の品の合計価額が2千円を超えれば、その超えた部分がお得ということになる。

 さてここからが本題であるが、この制度の難所は控除限度額の計算であり、特に個人住民税所得割額の20%が控除限度額とされる「住民税からの控除(特例分)」の計算は難解である。そしてこの難解さには、計算式自体の難解さに加えて年間の課税所得金額の試算が困難であるという点がある。

 前者については、近年控除限度額のシミュレーションを行うことができる様々なサイトが存在することから、これらを利用すれば自身で複雑な計算を行う必要はない。しかし、例えば入力箇所を誤ったり、或いは異なる金額を入力してしまうと結果が正しく反映されないので、この点に関しては十分注意する必要がある。併せて、可能な限り自身でも手計算を行い、各サイトの計算結果と概ね一致することを確認することによりそのリスクを大きく軽減できるものと考えられる。一方後者については、特に所得が毎月変動する自営業者などが該当するが、控除限度額を上回ってしまうことで十分なメリットを受けられないといった事態を回避する方策としては、試算を保守的に行うという点に尽きるだろう。

 この他にも寄付の時期や税額控除を受けるための手続きなどに関して幾つかの留意点があるが、いずれにしても制度の恩恵を最大限に受けることができるよう、正確に対応していくことが必要である。

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