厚生労働省がハラスメントのない職場づくりを推進
厚生労働省では12月を「職場のハラスメント撲滅月間」と定め、ハラスメントのない職場づくりを推進するため集中的な広報・啓発活動を実施している。
私が知る限りでは、一昔前はセクシャルハラスメント以外のハラスメントの認知度は決して高くなかったが、現在は(1)カスタマーハラスメント(①顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行う、②社会通念上許容される範囲を超えた言動により、③労働者の就業環境を害すること、の3つの要素を全て満たすものをいう。以下「カスハラ」と呼ぶ)、(2)パワーハラスメント(職場において行われる、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、の3つの要素を全て満たすものをいう)、(3)マタニティハラスメント(妊娠・出産・育休などを理由とする、解雇・雇い止め・降格などの不利益な取扱いを行うこと)、など数多くのハラスメントが社会問題として広く認知されている。
特にカスハラについては、行政機関の窓口や民間企業のコールセンターなどに対する威圧的な言動がメディアでも大きく取り上げられ、最近では店舗やタクシー内などでカスハラが犯罪である旨を記載したポスターやステッカーを目にすることも多い。また、今年6月には労働施策総合推進法等の一部改正法が公布され、カスハラや求職者等に対するセクシャルハラスメントを防止するために、雇用管理上必要な措置を講じることが事業主の義務となった。
こうした状況を踏まえ同省では、事業主、人事労務担当者及び労働者等が職場におけるハラスメント防止の必要性及び関係法令の内容への理解を深められるよう、ポスターの配布・掲示、インターネット広告などを活用した広報・啓発を行っている。また、去る12月10日には「職場におけるハラスメント対策シンポジウム」をオンラインで開催し、改正労働施策総合推進法の概要説明や、業界団体や民間企業によるカスハラ対策に関する取り組み事例などの紹介が行われた。
特に現在50歳代以上の世代にとっては、ハラスメントに対する認識が現在の社会と乖離している可能性があり、最近もこの世代に属する議員や著名人などによる不祥事が続発したと記憶している。国民一人一人がハラスメントに関する正しい見識を身に付け、もってハラスメントのない職場づくりを目指していくことが強く求められる。なお、詳細は厚生労働省のホームページを参照。






