令和7年に創設された育児休業関連給付金の概要
令和7年5月19日付け記事「東京都社会保険労務士会が実施する実務修習講座」で紹介したとおり、現在私は東京都社会保険労務士会が実施する実務修習講座を毎月受講している。11月の講座まで受講した感想としては、多くの講座が実務色の濃い内容で構成されており、その中でも講師の実務に関する経験談は非常に有益であると感じている。一方、既に社会保険労務士試験の勉強から離れて約2年半が経過する中にあって、政府が実施する最新の施策を学ぶ絶好の機会でもあり、例えば令和7年に創設された育児休業関連給付金(出生後休業支援給付金及び育児時短就業給付金)について、私は直近の講座を受講するまで制度内容をしっかり把握していなかった。社会保険労務士でありながら大変情けない話ではあるが、その後速やかに厚生労働省の公表資料を確認して一通り理解したつもりであるので、令和7年も残り3日という時期ではあるものの、今回は自身にとっての備忘録も兼ねて本制度の概要のみ簡潔に紹介したい。
まず出生後休業支援給付金は、共働き・共育てを推進するため、子の出生直後の一定期間に、両親ともに14日以上の育児休業を取得した場合に、休業開始時賃金日額の13%を最大28日間支給する制度である。端的に言えば、経済的なインセンティブを付与することで、未だに十分とは言えない男性の育児休業取得促進を図ることが目的である。これにより出生時育児休業給付金又は育児休業給付金(67%)と合計して給付率が80%となり、加えて①育児休業中は申出により健康保険料・厚生年金保険料が免除、②勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担なし、③育児休業等給付は非課税、であることから手取りは10割相当になる。
一方、育児時短就業給付金は、仕事と育児の両立支援の観点から、2歳に満たない子を養育するために時短勤務をした場合、従前と比較して賃金が低下するなどの要件を満たす時に、育児時短就業中に支払われた賃金額の最大10%が支給される給付金である。一言でまとめると時短勤務で減少した収入の一部が補てんされる制度であり、例えば支給対象月に支払われた賃金額が育児時短就業開始時賃金月額の90%である場合、支給対象月に支払われた賃金額の10%が給付されるが、90%を超えるとその割合に調整が入る。
なお、上記2制度の申請要件や留意点については割愛するが、いずれも事前に確認すべき事項や提出書類が多岐に亘るとともに、申請から受給までのスケジュール管理も重要であるなど、申請に当たっての事務手続きは非常に大変であると感じた。少なくとも中小企業の総務・人事担当者が他の業務と並行してかかる事務を自力で行うことは大きな負担になることだろう。加えて、こうした給付金は従業員にとっての貴重な生活原資であることから、仮に何らかの手違いで受給できなかった場合には大きな労務トラブルに発展しうる。従って、スムーズかつ正確に申請を進めるためには、やはり専門家である社会保険労務士に依頼することが好ましいだろう。
なお、詳細は厚生労働省のホームページを参照。






