国税庁が令和6年度税理士試験結果を公表
国税庁は、去る11月29日(金)に令和6年度(第74回)税理士試験結果を公表した。
私が税理士試験の受験生であった頃は12月中旬が発表日であり、合格から約15年が経った今でも合格発表=12月という固定観念から抜け出せず、毎年この時期になると税理士試験の結果が気になって国税庁のホームページを確認する。そしてその度に、合格発表日が以前よりもやや早くなっていることを1年ぶりに思い出すという流れがずっと続いている。だが、それでも試験日から合格発表日までは3か月超であり、特にボーダーラインギリギリの受験生にとっては非常に長く感じられたことだろう。
さて、今回の結果を見て気づいた点としては、まず受験者数の低下に歯止めがかかったことが挙げられる。しかも、昨年度から受験資格制限が撤廃された簿記論・財務諸表論の会計科目のみならず、相続税法・消費税法といった税法科目についても増加していることは、現役の税理士としては大変喜ばしいことであると感じている。
次に、財務諸表論が8.0%という極めて低い合格率であったことには非常に驚いた。この科目の合格率は例年比較的高い割合で推移しており、最近でも20%台後半に達した年が複数回あったと記憶している。また無論相性にもよるが、個人的には簿記論に比べれば財務諸表論は学習時間と合格が比例関係にあるため、専門学校の模擬試験の成績上位者が順当に合格していく傾向にあると考えている。ちなみに私自身も、最初に合格した科目は財務諸表論であり、そこで弾みを付けてその翌年から2年で4科目合格を実現していることから、最初に合格しやすい科目として財務諸表論はお勧めであると考えている。今年の合格率が10%を割った理由としては、上記の受験資格制限が撤廃されたことによる受験者層の質の低下によるものなのか、或いは例年は見掛けないようなトリッキーな出題があったのだろうか。簿記論の合格率が昨年度と同率であったことを考えると不思議な結果である。
最後に、相続税法の合格率(18.7%)が例年より高かったことにも注目している。だが、合格率が高い=合格が容易になったと単純に考えることはできない。その理由として、相続税法は一般的に会計科目(簿記論・財務諸表論)合格者や、法人税法など他の税法科目合格者などベテラン受験生が多くを占めている傾向があり、受験者層のレベルが高いと考えられるためである。だが、仮に試験問題がオーソドックスな内容であった場合、実力者が順当に合格できた年であったと推測されることから、(私も受験生時代に経験したが)税理士試験にありがちな合格安全圏にいながら僅かの差で不合格となるようなショッキングなケースは減少したのかもしれない。
いずれにしても、晴れて合格の栄冠を勝ち取った受験生に対して心よりお祝いを申し上げるとともに、来年以降受験を予定している方々に対してエールを送りたい。なお、詳細は国税庁のホームページ参照。