公正取引委員会などがフリーランス取引の状況についての調査結果を公表
公正取引委員会及び厚生労働省はこのほど、「フリーランス取引の状況についての実態調査」(法施行前の状況調査)の結果を取りまとめた。
現在政府では、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(以下「本法」と呼ぶ)が令和6年11月1日に施行されることを踏まえ、特定受託事業者(フリーランス)に係る取引の状況の把握、本法に関する周知などの取り組みを進めている。今般その一環として、公正取引委員会及び厚生労働省が改めて現状の取引実態を確認し、本法施行後の取引の適正化や就業環境の整備を促進するとともに、本法の施行後においては問題となり得る行為が行われている業種等を把握することを目的として本調査が行われている。
まず本法第3条では、業務委託事業者が特定受託事業者に対して業務委託をした場合には、直ちに取引条件(特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日等)を書面又は電磁的方法により明示しなければならない旨を定めているが、この取引条件の明示をしなかったことがあるとした回答割合は、委託者で17.4%、フリーランスで44.6%を占めており、フリーランスからは「事前に契約書を作成するのは稀で多くは口約束」「メール等の文字で証拠を残すことを嫌がる傾向がある」といった声が寄せられている。
次に報酬の支払期日について、本法第4条では特定受託事業者の給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内に報酬の支払期日を設定し、当該期日までに報酬を支払わなければならない旨を定めている。しかし、報酬を60日以内に支払わないこと(又は支払われなかったこと)があると回答したフリーランスの割合は28.1%にのぼり、フリーランスからは「老舗出版社では、その出版物刊行後に支払う慣習が未だ横行しており60日ルールが浸透していない」「先方の都合で案件がペンドとなり支払いもされていないものがある」といった声が寄せられている。
さらに本法第5条第1項第4号では、買いたたき(特定受託事業者の給付の内容と同種又は類似の内容の給付に対して通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額を不当に定めること)を禁止しているが、報酬の額について十分に協議を行い決定されたと回答しなかったものの割合は、フリーランスで67.1%にのぼり、また物価高騰の影響などによる価格転嫁をできなかったとする回答割合についても62.5%を占めている。
なお、詳細は公正取引委員会のホームページ参照。