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相続財産が未分割の場合の納税義務の判定

 前回ご紹介した「相続があった場合の消費税の納税義務の免除の特例」について、より実務色の強いバージョンがこちらのテーマである。まず第一の論点としては、被相続人の死亡年の2年前における課税売上高が1千万円超であった場合において、その対象となる資産が死亡年の年末時点において相続人間で未分割であった場合、各相続人はその年の納税義務を負うのか、という内容である。

 この点については、相続財産が未分割の場合には、財産の分割が実行されるまでの間は各相続人が共同して被相続人の事業を承継したものとして取り扱うものとなっており、判定に用いる被相続人の基準期間における課税売上高は、各相続人の法定相続分に応じた割合を乗じた金額により判定する。従って、例えば被相続人の2年前の課税売上高が1,800万円で相続人が(事業を行っていない)子2人である場合、子1人の課税売上高は900万円(1,800万円×1/2)と計算され、どちらの子についても納税義務が発生することはない。

 次の論点として、死亡年の翌年に遺産分割が確定した場合、その確定した内容に基づき死亡年の確定申告を再度行う必要があるのかという点がある。例えば、遺産分割が最終的に長男2:次男1の割合で確定した場合、長男の2年前の課税売上高は1千万円超(1,800万円×2/3)となるため、死亡年の消費税の確定申告を行う必要があるのか否かというものである。見方によっては「遡って行う必要がある」と考えられなくもないが、結論としては遡る必要はない。さらに、死亡年の年末までに遺産分割が長男2:次男1の割合で確定した場合、長男の2年前の課税売上高は1千万円超(1,800万円×2/3)となるため、死亡年の消費税の確定申告を行う必要が生ずるのかという点はどうか。こちらも正解はNOであり、実際の遺産分割割合にかかわらず法定相続割合を乗じた金額をもって納税義務を判定することが認められている。従って、先に述べた死亡年の翌年に遺産分割が確定した場合には、死亡年及びその翌年について法定相続割合を用いた納税義務の判定が行えることになる。

 以上、該当が限定される論点ではあるが、仮に誤った理解をしている場合には無申告や過納付のリスクを招くことになるため、十分注意する必要がある。

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