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塗装費用の税務上の取扱い

 以前寄せられた質問の一つに「賃貸アパートの外壁塗装を行ったのだが、これは全額経費として認められるのか?」という内容があった。賃貸不動産を所有していれば避けて通れないテーマであり、実務色はかなり濃い。

 賃貸アパートの修理関連費用については、それが建物の維持・管理を目的とする場合には「修繕費」として一括で経費処理することができるが、建物の価値・性能の向上を目的とするものである場合には、「資本的支出」として固定資産に計上し、その後一定の期間に亘って減価償却を行っていく必要がある。そして、この修繕費と資本的支出の区分は、ケースによっては判断が難しいものもあり、さらに資本的支出に該当する場合には何年で減価償却を行えば良いのか、なども難所となり得る。

 税理士事務所に依頼せず納税者自身で確定申告を行っている場合、資本的支出に該当するものについて「修繕費」として一括経費処理している、或いは固定資産として計上した場合においても、その減価償却について誤った耐用年数を使用しているケースは相当数存在するものと考えられる。取引単位が高額である場合、税務調査で指摘された場合の追徴税額も相当な金額になることが予想されるため、この論点は入念に確認しておきたいところである。

 先の塗装工事の件については、例えば通常用いられる塗料を使用し、外壁のひび割れや剥がれなどを補修することを目的として行われる一般的な維持・管理のための外壁塗装であれば、基本的には修繕費として認められるものと考えられる。一方、耐久性を高めるような良質な塗料を用い、建物自体の価値や性能を著しく向上させることを目的として行われるものであれば、資本的支出に該当する可能性が高いであろう。この当たりの判断はケースバイケースで難しい部分もあるが、しっかり対応していく必要がある。

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