中小企業庁が最低賃金引上げに対応する支援策を公表
中小企業庁はこのほど、過去最大となった今般の最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者を後押しするべく、これまでの取り組みに加えて新たな対応策も含めた支援策を公表した。
去る9月5日に都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した令和7年度の地域別最低賃金の改定額が取りまとめられた。その結果、全国加重平均額は1,121円(昨年度は1,055円)、全国加重平均額66円の引上げは昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となった(詳細は厚生労働省のホームページを参照)。こうした動きを踏まえ、同庁では(1)賃上げ原資確保に向けた価格転嫁対策の強化、(2)賃上げ原資確保に向けた補助金等による支援、(3)中小・小規模企業の生産性向上における賃上げ支援機能の強化など、賃金引上げに向けた環境整備に係る支援を包括的に行う。
まず(1)については、中小受託取引適正化法(取適法)の来年1月の施行に向けて、47都道府県での事業者説明会やテレビ・インターネット広告等を活用した改正法に係る周知広報を徹底する。また、本年3月の価格交渉促進月間の発注企業のフォローアップに加えて、今年2回目の同月間となる9月の取り組みについても、例えば評価が芳しくない発注側企業には、業所管の大臣名で企業トップに対して指導・助言を行うとともに、評価が芳しくない地方公共団体等に対しても改善に向けた働きかけを行っていくこととしている。
次に(2)では、地域の社会機能を担う小規模事業者に対する販路開拓等の支援として、経営計画を作成して販路開拓等に取り組む小規模事業者を支援する小規模事業者持続化補助金や、赤字企業でも賃上げに挑戦できるよう中小企業向け賃上げ促進税制における5年間の繰越控除措置の活用などを通じて賃上げ促進税制等による支援を進めていく。また、域内への波及効果の大きい100億企業を目指す中小企業に対する成長加速化支援や、地域の成長の実現に重要な事業承継や再生支援等に対する相談体制の強化も図る。さらに(3)では、ものづくり補助金、IT導入補助金、省力化投資補助金(一般型)について、要件緩和や審査における優遇措置を新たに実施するほか、厚生労働省とも連携して相互に各種支援策の周知を徹底する。
なお、詳細は経済産業省のホームページ参照。