社会保険における現物給与の価額改定等
給与は金銭で支給されるのが一般的であるが、住宅(社宅や寮など)の貸与、食事、自社製品、通勤定期券などで支給するものを現物給与といい、現物給与で支給するものがある場合は、その現物を通貨に換算し、金銭と合算して標準報酬月額の決定を行う。
このうち食事については、既に令和8年4月1日に改定が行われており、例えば東京都の場合には1か月当たりの現物給与価額は25,500円と定められている。この場合、現物給与価額の3分の2未満の価額を食事代として徴収(負担)している場合には、現物給与の価額から徴収額を引いた価額が現物給与価額となる。これに対して現物給与価額の3分の2以上の価額を食事代として徴収している場合、現物による食事の供与はないものとして取り扱われる。よって、仮に東京都に所在する事業所の場合、17,000円以上徴収(負担)していれば現物給与価額は0円となり、標準報酬月額には影響を与えない。
一方住宅については、令和8年10月1日より居住面積1畳当たりの価額から総面積1㎡当たりの価額に変更になっている。併せて、その対象となる面積の算定方法についても変更されており、実務上はこちらの方が影響は大きいと考えられる。具体的には、従前の価額の計算に当たっては、居間、茶の間、寝室、客間、書斎、応接間、仏間、食事室など居住用の室を対象とし、玄関、台所、トイレ、浴室、廊下、農家の土間などの居住用ではない室は含めなかったが、今後は居住する住宅の床面積の合計(総面積)が対象となる。よって今回の変更により、これまで現物給与が0円であった場合についても標準報酬月額がアップする可能性が考えられる。
ちなみに住宅の現物給与価額の算定方法は、現物給与の価額から徴収額を差し引いた額であり、食事代のような3分の2基準は存在しない。例えば東京都の場合、1人1月当たりの住宅の利益の額は総面積1㎡につき1,330円と定められているため、仮に総面積40㎡のマンションである場合、現物給与価額が発生しないためには53,200円を徴収する必要がある。少なくとも小規模な住宅の場合には、税務上給与として課税されない金額(令和3年11月9日付け記事「会社役員から徴収する社宅家賃の設定」を参照)に比べて徴収額が多額になる可能性が高いため、社宅家賃の設定に当たっては税務のみならず社会保険面についても十分考慮した上での検討・判断が一層求められることだろう。






