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公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

 「日本年金機構から標題の書類が送付されたのだが、記入・返送しないと何か不都合があるのか?」。これまで関与先の役員や親族から頻繁に受けたことのある質問である。特に今年は、本申告書の送付対象となる年金額が大幅に下がったので、初めて本申告書を目にして困惑した納税者が多かったかもしれない。

 まず本申告書は、公的年金等の受給者のうち所得税や住民税(以下「税額」と呼ぶ)の課税対象となる可能性がある者に対して送付されており、公的年金等から天引きされる税額に係る所得控除の内容を申告するための書類である。少なくとも一般的な高齢者目線で見た場合、本書類の記載内容が非常にわかりづらく、個人的にはもう少し簡素化できないか毎年感じているところである。しかし単に読むのが面倒であるという理由で返送しない場合、公的年金等から天引きされる税額が増加することもあるためしっかり対応する必要がある。

 但し、本申告書が送付された納税者全員が、この複雑な記載内容の全てにくまなく目を通した上で記入・返送する必要があるわけではない。例えば受給者本人が障害者・寡婦等に該当せず、控除対象となる配偶者又は親族がいない場合、提出は不要である。また、前年分の扶養親族等申告書を提出した者は、申告書にあらかじめ前年の申告内容が印刷されている。よって、その内容を確認した上で前年の申告内容に変更がない場合は、所定欄に〇を付し、氏名を記入の上で提出すれば他の項目の記入は不要であり、おそらく多くの納税者はこのケースに該当すると思われる。

 一方、例えば新たに控除対象となる配偶者を有する、或いは自身が障害者に該当することとなった場合には、その旨を正確に記載しなければ翌年受給される年金についてこれらの控除が正しく反映されないため、年金から税額が過大に天引きされることとなる。具体的には、配偶者が定年で仕事を辞めたことで所得が大幅に減少した、或いは納税者自身がペースメーカーを装着することになり身体障害者手帳1級の交付を受けた、といったケースは現実的に十分起こり得る。仮にこの場合、所得税の老人扶養親族の控除額は48万円(住民税は同38万円)、特別障害者の控除額は40万円(住民税は同30万円)であるため、所得税率が最低税率の5%であっても無申告による過大天引き税額はいずれも数万円に達する。

 なお、今年から上記の控除を受けられたにもかかわらず申告書を提出しなかった、或いは前年と変更なしで申告書を提出してしまった場合であっても、一定の期間内であれば確定申告を通じて控除を適用することで払い過ぎた税額の還付を受けることは可能である。だが、そのために一定の時間と労力を費やすことになるので、可能な限り本申告書を正確に記入・提出することが好ましい。

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