社会保険料率の変更等に伴う給与計算時の留意点
毎年3~4月は健康保険料率や雇用保険料率が変更されるため、一層の注意を払って事務処理を行っていく必要があるが、特に今年は源泉徴収税額表の変更や「こども子育て支援金」の創設により事務処理が更に複雑になっており、事業所の給与計算担当者は例年以上に大変な思いをしているものと考えられる。しかも、各変更は〇月に一斉に行われるという画一的なものではなく、かつ給与締め日や支払サイクルによってもその対応方法が異なることが事務処理を一層複雑にしている。そこで今回は、今年1~4月にかけて変更された上記の概要について紹介したい。
時系列で見ていくと、まず令和8年1月支払給与以降の源泉徴収税額表が変更となっている。例えば、扶養親族等の数が0名の甲欄適用者の場合、その月の社会保険料等控除後の給与等の金額が105,000円未満の場合には源泉徴収税額は発生しないので、同金額が10万円の場合において、誤って前年の源泉徴収税額表を使用してしまうと過大天引きになってしまう。また、当月締め翌月払いの場合には、令和7年12月分給与から新税額表を使用する点も要注意である。
次に、例年行われている健康保険料と雇用保険料の料率変更が挙げられる。健康保険料率については、一般的に当月締め当月払いの事業所の場合には4月分(4月支払)給与から、当月締め翌月払いの場合には3月分(4月支払)給与からそれぞれ変更後の健康保険料を天引きすることになる。一方雇用保険料については、令和8年4月以降に給与締日の来る給与から変更されるため、双方の違いをしっかり押さえた上で正確に対応する必要がある。
さらに、こども子育て支援金については、4月分(5月支払)給与から天引きが開始される。ちなみに令和8年度の支援金率は0.23%であり、標準報酬月額に支援金率を乗じた支援金を事業主と従業員が各2分の1ずつ負担する。健康保険料や厚生年金保険料と比べれば料率・金額ともに少額ではあるものの、生活者にとって負担増となることは間違いない。加えて私の知る限りでは、残念ながら本支援金に関する一般の認知度は決して高くない。〇〇円の壁の解消により税金・社会保険の負担軽減が図られている一方で、こうした制度が着々と実施されている事実についてもしっかり目を向けた上で、現行の施策全般に対する客観的な評価を行っていく必要があるだろう。






