1. HOME
  2. ニュース
  3. 通勤手当の非課税限度額の改正に伴う年末調整への影響

NEWS

お知らせ

税理士業務

通勤手当の非課税限度額の改正に伴う年末調整への影響

 令和7年11月に所得税法施行令の一部が改正され、通勤のため自動車などの交通用具を使用している給与所得者に支給する通勤手当の非課税限度額が引き上げられた。

 まず「通勤手当」と聞くと、鉄道やバスを利用した際に事業所から支給される通勤用定期乗車券をイメージしてしまうが、自動車や自転車といった交通機関以外を利用した場合であっても、その通勤距離に応じた非課税限度額が定められており、今回はこの限度額について改正が行われている。具体的には、例えば通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満の場合には、1か月当たりの非課税限度額が7,100円から7,300円に引き上げられており、その距離が長いほど引上げ額が多くなっている。昨今のガソリン価格の高騰によるマイカー通勤者等の経済的負担を勘案した場合、本改正は至って順当なものと言え、個人的には引上げ額はもっと多くても良いのではないかと感じている。加えて、特に小規模事業所の場合には自動車などで通勤している従業員が比較的多いと考えられ、今回の改正は事業所側及び従業員側の双方にとって有益なものと言えよう。一方、通勤距離が片道10キロメートル未満のマイカー通勤者等、及び交通機関を利用している場合に支給される通勤用定期乗車券について非課税限度額の変更は行われていない。

 また、この改正は令和7年4月1日以後に支払われるべき通勤手当(同日前に支払われるべき通勤手当の差額として追加支給するものを除く)について適用される。従って改正前に、改正前の非課税限度額を超えた通勤手当を支払っていた場合には、令和7年分の年末調整で対応が必要となることがある。年末調整で精算する際の源泉徴収簿への記載例や、今回の通勤手当の非課税限度額の引上げに関するQ&Aは国税庁のホームページに掲載されており、例えば令和7年3月分の通勤手当を同年4月に支払っていたり、逆に令和7年4月分の通勤手当を同年3月に先払いしているケースに関する取扱いなど、実務上遭遇しうる論点について詳しく触れられている。

 ちなみに、これまで紹介した記事でも何度か触れているが、通勤手当の非課税ルールはあくまで税法に関しての論点であり、社会保険料や雇用保険料の算定に当たってはその対象に含める必要がある。例えば、算定基礎届の報酬月額欄に通勤手当を除外して記入してしまう、②毎月の給与から雇用保険料を天引きする際に通勤手当を含めずに計算してしまう、といった誤りは、自社で給与計算を行っている場合には発生しがちであるので十分注意したいところである。

 今年の年末調整作業は税制改正によって非常に複雑になっていることに加え、通勤手当についても所定の作業が発生することで税理士事務所や経理担当者の負担は益々増えることになるが、例年以上に細心の注意を払って正確かつ迅速に対応していく必要がある。なお、通勤手当の非課税限度額の改正についての詳細は、国税庁のホームページを参照。

最新記事

料金プラン(法人)

料金プラン(個人)

料金プラン(法人・個人)