市町村長の認定による障害者控除の適用
所得税法の障害者控除の対象となる「障害者」は同法施行令に限定列挙されており、介護保険法の介護認定を受けただけでは障害者控除の対象とはならない。一方、精神または身体に障害のある65歳以上の人で、障害の程度が知的障害者または身体障害者に準ずるものとして市町村長等の認定を受けた場合などについては障害者控除の対象となる。私自身この知識自体は有していたものの、少なくともこれまでの実務においては障害者控除に遭遇したケースが少なく、納税者から提出された書類(身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳のコピーなど)に基づき障害者控除を正しく適用することに多くの注意を払い、それ以上深く考えることは少なかった。だが最近の実務において、上記の市町村長等の認定申請に関わる機会があったので、その備忘録も兼ねて本件について整理した内容を紹介したい。
まず障害者控除は、納税者自身、同一生計配偶者又は扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合に受けられる所得控除のことであり、所得税の控除額は特別障害者の場合には40万円、一般障害者では27万円である。特別障害者と一般障害者の区分についての詳細は割愛するが、例えば身体障害者手帳の場合には1~2級が特別障害者、3~6級が一般障害者に該当する。障害者控除の適用を受けるためには原則として一定の障害者手帳を所持している必要があり、単に介護認定を受けているだけではその適用を受けることができないが、上記の市町村長の認定を受けた場合には、障害者手帳を所持していなくても障害者控除の適用を受けることが可能である。
注意点としては、本認定書はあくまで税務申告(年末調整や確定申告)における利用を目的とした書類であるため、本認定を受けることで別途障害者手帳が交付されたり、今後受けられる介護・福祉に関するサービスメニューが増加・変更されるわけではない。
それでは、本認定を受けられる要件に該当するにもかかわらず、本認定制度を知らなかったために年末調整(又は確定申告)ではこれまで障害者控除の適用を受けていなかったのだが、過年分に遡って認定を受けることは可能なのか。私自身も本件についてそれほど注意を払っていなかったので、一般納税者の多くは本制度自体を知らない可能性が高く、過去数年間に亘って何もしていなかったというケースも十分考えられる。少なくとも税法上は、一定の期間内であれば確定申告又は更正の請求により払い過ぎた税金の還付を受けることができるため、住所地の自治体に問い合わせて過年分の認定申請を行うことができないか確認することが好ましいだろう。






