配当所得の確定申告?(所得税)
配当所得の確定申告?で説明した3パターンのうちどの方法を選択するかについては、個々の実態により異なるが、その選択に当たって留意したい事項が幾つかある。
まず、扶養控除の判定に際して、「確定申告をしない」場合には合計所得金額に含まれないが、それ以外のパターンでは一定の場合を除いて含まれてしまう点である。例えば、これまで控除対象配偶者や控除対象扶養親族であった者に一定の配当所得があるような場合、配偶者控除や扶養控除の適用対象外となることにより、家族全体で税負担が増加するというケースも想定される。
次に、上場株式等の譲渡損失との損益通算については、「申告分離課税」を選択している場合のみ適用されるので、売買取引により損失を被った納税者にとっては利点と言える。また、既に繰り越された譲渡損失との相殺も可能であるが、繰越可能期間が3年であることや前述の合計所得金額の計算上の取扱いなども含めた検討が必要となる。
最後に、(前項と重複するが)「総合課税」は累進税率が適用されるので、最高税率が適用されるような高額所得者が選択してしまうと、本来は約20%で済んでいた税率が大幅にアップすることで無用の納税を強いられる恐れがある。一方、配当控除は総合課税の場合にのみ適用があるので、こうした点を勘案して適切な判断を行っていく必要があると言える。
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